タイトル |
スターホイールトラクタによる湛水直播栽培導入の経営改善効果 |
担当機関 |
福井県農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
大規模稲作経営においてスターホイールトラクタによる湛水直播栽培を導入することで、約2割の規模拡大とそれによる農業所得増加が可能となる。また生産組織における出役労働者数の減少による労働力不足にも直播導入が有効である。
|
背景・ねらい |
直播栽培は省力・低コスト技術として注目されている。特に春作業の労働競合回避や収穫期間の拡大というメリットをいかし、規模拡大を図ろうとする大規模稲作経営においてその導入が期待されている。また出役労働を主体とした生産組合においても、高齢化や兼業化等による出役労働力減少に対応する手段としての直播導入も考えられる。本情報では、福井農試で開発したスターホイールトラクタを利用した湛水直播栽培を対象として、規模拡大および労働力減少における直播導入の効果を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 分析に用いた栽培体系毎の粗収益および変動費、作業時間を、現地実証地区のデータを参考に表1のように整理した。10aあたり作業時間は、移植に比べ11~15%の省力化になり、直播圃場を団地化することでさらに8%の省力化が可能となる。なお直播は移植に比べ収量が低いため、利益係数は17~23%低下する。
- 基幹オペレータ2名による法人経営体を想定し(表2)、借地による規模拡大が可能であるという前提で、移植体系のみの導入について分析をしたところ、34.8haまでの規模拡大が可能である(表3モデルⅠ)。
- この経営体において直播技術も導入可能とした場合には、移植のみに比べ19%の規模拡大と15%の所得増加が期待できる作付計画となる(表3モデルⅡ)。また直播圃場の団地化を仮定した場合には、22%の規模拡大と24%の所得増加が可能となる(表3モデルⅢ)。
- 一方全ての作業を出役により行う協業型の任意生産組合を想定し、一度に出役可能な人数が減少した時の直播導入効果を分析した(表4)、(図1)。労働力に余裕がある場合には直播は導入されないが、出役可能人数が減少すると、春作業の労働時間が少ない直播が採用される。
|
成果の活用面・留意点 |
- 規模拡大志向の大規模稲作経営において、直播導入により所得向上効果が期待できる。
- スターホイールトラクタは、水稲および転作作物の中間管理作業にも利用可能である。
- 分析には営農技術体系評価・計画システム「FAPS97」(南石 1998)を利用した。なお前提とする経営体や米価等の状況により計算結果が変化するので、結果数値の取り扱いに注意する。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
規模拡大
経営管理
栽培体系
直播栽培
省力化
低コスト
春作
|