有機物連用における露地栽培レタス−ブロッコリー体系の効率的肥培管理技術

• 担当機関: 石川県農業総合研究センター
• 研究期間: 1996～1998
• 発行年度: 1998
• 要約: 有機物を連用した露地圃場のレタス－ブロッコリー栽培において、堆肥と有機質肥料を減肥しても化学施肥栽培並の収量が得られる。また、適正な有機物施用量は、作付け前土壌の腐植含有率から推定できる。
• 背景・ねらい: 野菜栽培では、有機物連用による持続的安定生産を行う栽培が注目されてきている。1993年から壌土のレタス－ブロッコリー露地栽培体系において、有機物（籾がら牛ふん堆肥、有機質肥料：鶏ふん、なたね油かす）を連用した結果、2作目以降から化学肥料施肥栽培並の収量が得られることが明らかとなった。1996年からは有機物連用土壌における効率的な肥培管理技術について検討した。(表1、2）。

成果の内容・特徴

1. レタス、ブロッコリーともに、有機慣行区（堆肥3t/10a/作、有機質肥料−N量レタス23、ブロッコリー26kg/10a）の4年目からは、慣行の化学肥料施肥を越える収量が得られる。したがって連用4年目以降はレタスにおいて有機質肥料の30%減肥、またブロッコリーにおいては堆肥無施用で有機質肥料を30%減肥しても、化学肥料慣行区並の収量が得られる(図1）。
2. 収量と土壌中腐植含有率との関係から、有機物連用4年目からのレタス栽培において、作付け前土壌の腐植含有率が3.8%あれば有機質肥料の30%減肥が可能である。また同様に、ブロッコリー栽培においても作付け前土壌の腐植含有率が4.8%であれば有機質肥料の30%減肥が可能である(図2）。
3. 有機物連用1年目と5年目の土壌中窒素生成量の推移を洗浄培養法で測定した結果、有機物施用1年目では培養初期の土壌窒素生成量が少ないが、5年間連用すれば培養初期から土壌窒素の生成がみられる。有機物連用に伴って、野菜の生育初期への土壌窒素の供給が高まっている(図3）。

成果の活用面・留意点

1. 有機物連用における土壌の化学・生物性の変化に応じた有機物施用量を示すことにより、現場の有機物利用農家の増加が見込め、有機物農産物認定制度の拡大に役立つ。
2. 本技術は壌土～埴壌土の露地栽培でのレタス－ブロッコリー体系で適用が可能である。

• カテゴリ: 土づくり 肥料 栽培体系 施肥 鶏 なたね 肥培管理 ブロッコリー 野菜栽培 レタス