タイトル |
坊主不知ネギの組織培養によるウイルスフリー化とその特性 |
担当機関 |
富山県農業技術センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
坊主不知ネギ「清心」の茎頂を培養して得られた個体は、SYSV、LYSV、GLVの3種のウイルスが除去されている可能性が高い。それらの個体に、モザイク症状は見られず、品質は良好である。
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背景・ねらい |
富山県におけるネギ栽培は、秋冬に収穫する作型が中心であったが、近年、市場等のニーズにより栽培の周年化が取り組まれている。その中で、坊主不知ネギは抽台しにくい特性を活かして5月から6月にかけて収穫されている。しかし、栄養繁殖により集団を維持していることから生育の揃いが悪く、さらにウイルスに罹病している株が多いため、収量や品質の低下が問題となっている。そこで、富山県で栽培されている坊主不知ネギの茎頂培養を試み、その効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 圃場で継代している坊主不知ネギはDIBA法により、ニンニクダニ伝染ウイルス(GMbMV)、ネギ萎縮ウイルス(SYSV)、リーキイエローストライプウイルス(LYSV)、ニンニク潜在ウイルス(GLV)の抗血清に陽性を示す個体が見られたことから、これら4種のウイルスに感染している可能性がある(表1)。
- 坊主不知ネギの茎頂1mmから培養することで、2種のウイルス(SYSV、GLV)を除去できる可能性が高い(表1)。
- 供試した4種類の抗血清に陰性を示した選抜系統は、網室内で栽培することで、再汚染を防ぐことができる。しかし、選抜した系統を網室外で栽培すると、2種のウイルス(GMbMV、GLV)に早期に再汚染される(表1)。
- ウイルス抗血清に陰性を示した選抜系統の中で、襟部のしまりが良く、立性の98-2及び、葉鞘部の太い98-9の2系統は、実用の可能性が高い(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 選抜系統は、現在、網室内において増殖中である。
- ウイルスの再汚染による、特性の変化は、検討中である。
- 検討の対象とした4種ウイルスのうち、GMbMVとLYSVは、ネギでの発生は未報告であるが、血清反応だけではウイルスを同定できないので、ウイルスの種類の特定には他の手法を含めて、詳細に検討する必要がある。
- 選抜系統のウイルスフリー化の確認には、電顕観察等の手法を駆使する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
にんにく
ねぎ
繁殖性改善
モザイク症
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