タイトル |
気象変動に強い良質・良食味水稲早生新品種「こしいぶき」 |
担当機関 |
新潟県農業総合研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
「こしいぶき」は、新潟県では早生の中間型に属する粳種である。品質・食味はコシヒカリ並に優れ、地域・年次による変動が少なく安定している。高温条件下でも登熟は良好である。
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背景・ねらい |
新潟県における水稲作付けは「コシヒカリ」に極端に集中し、平成11年度は全体の80.6%、93,272haを占めている。一品種への過度の作付偏重は、収穫・乾燥作業に係るコスト高や品質低下及び気象・病害虫被害を拡大させる危険性を孕んでいる。一方、近年の早生種の品質変動や、高温登熟による品質低下が大きな問題となってる。 このような背景の中で、従来品種より品質・食味レベルが高く、品質変動の少ない優れた早生品種を開発し、「コシヒカリ」への一極集中の是正と新潟県産米全体の品質向上をを図る。
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成果の内容・特徴 |
- 昭和63年、新潟県農業試験場(長岡市)において、東北143号(後の「ひとめぼれ」)を母とし、山形35号 (後の「どまんなか」) を父として人工交配し、以後系統育種法により選抜固定を図った。平成9年から「新潟56号」の系統名を付け、奨励品種決定調査及び現地調査に供試して地域適応性を検討した。平成11年で雑種第12代である。
- 出穂期、成熟期ともほぼ「ゆきの精」並の早生の粳種である。草型は中間型で、稈長は「ゆきの精」並の中稈で、稈の細太は中、柔剛は中である。穂長は中、粒着密度はやや疎である。穎色・ふ先色は黄白で、短芒が極少程度生ずる。止葉はやや立つ。
- 倒伏抵抗性はやや強で、穂発芽性はやや易である。いもち病真性抵抗性遺伝子 Pii を持つと推定され、圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちともに中である(表1)。
- 玄米の形および大小は、「コシヒカリ」並の中である。玄米の外観品質は「コシヒカリ」「ゆきの精」より優れ、高温登熟性に優れる(図1,表2)。炊飯米の光沢がよく、食味は「ゆきの精」「越路早生」より明らかに良く「コシヒカリ」並の極良である。
収量性は「ゆきの精」並である。
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成果の活用面・留意点 |
- 新潟県で平成11年度に奨励品種に指定し、平成13年より早生主力品種として、高標高地(400m以上)を除く県内全域に普及を図る。普及対象面積は10,000ha以上である。
- 高品質米生産を最優先とした栽培とし、多肥多収栽培は絶対に避ける。
- やや穂発芽し易いので、倒伏を極力避ける栽培管理を心掛ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
いもち病
害虫
乾燥
コスト
栽培技術
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
良食味
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