タイトル |
直播適性を持つ極良食味・耐倒伏・難穂発芽の水稲新品種候補系統「北陸179号」 |
担当機関 |
北陸農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
「北陸179号」は寒冷地南部では晩生の早に属する粳種で、草型はやや短稈の中間型、耐倒伏性が強く、穂発芽性が難の極良食味系統で、直播栽培にも適する。平成12年から熊本県では「ミネアサヒ」等に替えて普及を予定している。
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背景・ねらい |
北陸地域を中心とする寒冷地南部地帯では「コシヒカリ」を主体とする良食味品種の作付が行われているが、倒伏や長期にわたる秋雨による穂発芽の発生等が減収、品質・食味の低下の要因となっており、これらの特性の改良が求められている。また、近年の米を巡る情勢から、低コスト・省力化をめざした直播栽培に適する品種、他産地と差別化できる特色のある品種への要望も強い。そこで、直播栽培に適し、複数の抵抗性・耐性を持つ極良食味品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「北陸179号」は平成元年に北陸農業試験場において、耐倒伏、穂発芽性等複数の抵抗性・耐性を持つ極良食味品種の育成を目的として収4885(後の「どんとこい」)を母とし、収4695を父として交配した後代から育成された系統である(表1)。
- 出穂期および成熟期は「日本晴」よりやや早く、「アキニシキ」並で、育成地では晩生の早に属する粳種である(表1)。
- 「日本晴」に比べ稈長はやや短く、穂長はやや短く、穂数はやや少なく、草型は中間型である。耐倒伏性は強で、収量性は「日本晴」に優る多収である(表1)。
- いもち病抵抗性遺伝子型はPiiと推定され、葉いもち圃場抵抗性はやや強、穂いもち圃場抵抗性は中、白葉枯病圃場抵抗性は中、穂発芽性は難である(表1)。
- 玄米は「日本晴」よりやや大きく、品質は「日本晴」よりやや劣り上下、食味は「日本晴」に優り、「コシヒカリ」並の上中である(表1)。
- 直播栽培において「どんとこい」並に苗立ちが良好で、倒伏が少なく、「どんとこい」並の収量が得られる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「北陸179号」の特性から、「日本晴」、「アキニシキ」等の熟期の作付けが可能な北陸、東北南部、関東以西の広い地域に適応する。
- 熊本県では平成12年より高冷地帯の「ミネアサヒ」等に替えて普及を予定している。
- 適正施肥、いもち病の適期防除に努めるとともに、白葉枯病常発地帯での作付は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
直播栽培
新品種
水稲
施肥
抵抗性
抵抗性遺伝子
低コスト省力化
品種
防除
良食味
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