苗水分ストレス指数を用いた「コシヒカリ」の健苗育成指標

タイトル 苗水分ストレス指数を用いた「コシヒカリ」の健苗育成指標
担当機関 福井県農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 放射温度測定により求めた潅水前の水稲苗の表面温度などから算出される苗水分ストレス指数(SWSI)により、移植時の苗質(苗丈,茎葉重)が推定できる。健苗育成のための苗水分ストレス指数の平均値は、0.3前後である。
背景・ねらい 水稲苗の表面温度などから求めた苗水分ストレス指数は、苗の水分状態の指標として活用できることが明らかにされている(北陸農業研究成果情報第14号:19-20)。そこで、育苗期間中の灌水管理の指標化のために、継続して測定した苗水分ストレス指数と苗質の関係を明らかにし、健苗育成に活用する。
成果の内容・特徴
  1. 平均気温が異なる育苗試験の結果より、湛水管理した苗の苗丈は平均気温が高くなるほど伸長するが、灌水量を控えることにより特に高温条件で苗丈の伸長を抑えることができる(図1)。
  2. 苗水分ストレス指数(Seedling Water Stress Index:SWSI)は、午前、午後の潅水前に測定した苗表面温度などより算出し(表1の凡例)、苗1葉期以降毎日平均する。苗の萎凋開始時のSWSI値はおおむね0.3~0.4であるが、気温15℃以下の低温多湿条件では萎凋程度診断への適用性は不十分である。したがって、育苗期間平均気温が15℃以上の育苗条件で適用性が高い(図2)。
  3. SWSI値の育苗期間(苗1葉から2.0~2.5葉期)平均値と移植時苗丈の間には負の相関関係が認められる(図3)。また、SWSI値が0.35を上回ると、移植時の茎葉乾物重が低下する傾向が認められる(図4)。したがって、SWSI値を継続測定することで移植時の苗質が推定でき、灌水量診断に活用できる。
  4. 健苗としての稚苗の苗丈の指標は10~15cm、茎葉乾物重の指標は10~12mg/本であるため、育苗期間の潅水前平均SWSI値は 0.3前後が適している。この値は苗の萎凋直前の値に近い。SWSI値を判断材料として育苗途中で灌水量を変更することにより、苗質を健苗に近づけることができる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. SWSI値は、簡易なスポットタイプ放射温度計を用いても算出できるため、現地においても適用が可能である。
  2. 本試験は、「コシヒカリ」を用いて箱あたり播種量120g、床土窒素量1.5gで実施している。このため、品種や播種量、施肥量が異なると推定値も異なる点に留意する。
図表1 214372-1.gif
図表2 214372-2.gif
図表3 214372-3.gif
図表4 214372-4.gif
図表5 214372-5.gif
カテゴリ 育苗 水稲 施肥 播種 品種 水管理

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