酸性の融雪水がそらまめの雪害に及ぼす影響

タイトル 酸性の融雪水がそらまめの雪害に及ぼす影響
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1996~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 北陸地域において、酸性の融雪水が積雪期間中断続的に流下している。融雪水は積雪下のそらまめ葉の無機養分を溶脱して生理的消耗を加速し、雪害を助長すると考えられる。
背景・ねらい 積雪地域の冬作物生産においては雪害が最大の生産阻害要因であり、雪害は積雪下における作物体の糖の生理的な消耗と、雪腐病菌が原因であるとされている。本成果では新たな雪害要因として融雪水に着目し、葉が水に濡れやすい特性のそらまめを用いて、酸性の融雪水が積雪下の作物に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 融雪水は積雪期間中ほぼ毎日流下しており、積雪下の作物は長期間融雪水によって濡れている。1日ごとに採取した融雪水の平均pHは4.4,最低値は3.9と酸性である(図1)。
  2. 積雪下においてソラマメ生存葉のK、Ca、Mg含有率は徐々に低下し、葉の壊死は増加する(図2)。壊死部からは雪腐病菌が検出される(既報)。
  3. 積雪下を想定した室内実験において、0.5℃暗黒条件の無処理区では葉の無機養分含有率は増加するが、1日当たり10mmの蒸留水(pH5.5)を倒伏させた植物体に流下処理すると葉の無機養分含有率は処理前よりも低下する。pH3.0の水を流下処理すると無機養分の低下程度は更に増加する(図3)。各処理後の葉に雪腐菌核病菌叢を接種すると、pH3水処理後の葉の病斑長は他の処理区よりも大きくなる(図4)。
  4. 以上から、ソラマメ葉の無機養分は酸性の融雪水に長期間濡れることにより溶脱されており、無機養分の溶脱は積雪下におけるソラマメの生理的な消耗を加速し、雪腐病抵抗性を低下させて雪害を助長すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 酸性降雪が耕地生態系に及ぼす影響に関する研究の基礎的な知見となる。
  2. そらまめ以外の作物については個別に検討する必要がある。
図表1 214387-1.gif
図表2 214387-2.gif
図表3 214387-3.gif
図表4 214387-4.gif
カテゴリ そらまめ 抵抗性

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