積雪地域に適した日本なし「幸水」の早期加温栽培方法

タイトル 積雪地域に適した日本なし「幸水」の早期加温栽培方法
担当機関 福井県農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 積雪地域において波状棚・斜立主幹形仕立て、密植植栽を用いれば、積雪に強い周年被覆単棟型ハウスでの日本なし「幸水」の積雪期からの加温栽培が可能となる。また、1月下旬からの加温により、6月上旬に品質の高い果実が収穫できる。植栽2年目で10a当たり2t、3年目に3tを越える収量を確保できる。
背景・ねらい 福井県のような積雪地域では、冬季は気温が低く、降雪があるため露地のみの単一作型に制限される。このため、冬季の農閑期を有効利用でき、かつ、快適に作業できる積雪地域の気象条件に対応した日本なしの栽培方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 波状棚・斜立主幹形・密植植栽の方法は以下の通りである。
    波状棚(底辺3.75m高さ2.4m傾斜51°)を設置した施設内に、あらかじめ養成した2年生樹を密植植栽(樹間1.0m400本/10a)する。仕立て方は、波状棚の傾斜にそって主幹を斜立させ、側枝は主幹から直接養成し、地上面とほぼ平行方向に誘引、棚付けする。側枝の長さは約30㎝とし、花芽の着生が不足してきたら主幹部近くの発育枝を利用して側枝を更新する。側枝本数は1樹当たり13本程度を目安とする。着果量は植栽2年後に1樹当たり12果、3年以後に25果とし、1側枝当たり2果を基準に着果させる(図1)。
  2. この方法は早期成園化が可能である。植栽2年後で露地平棚成園の60%、植栽3年後に平棚と同等の収量を得ることができる(図2)。また、樹勢が落ち着き、着果に必要な花芽が連年確保できることから、安定して生産が可能と考えられる(表1)。
  3. 6月上旬収穫の早期加温方法は以下の通りである。
    ビニールを周年被覆した単棟ハウスにおいて、自発休眠からの覚醒のためハウスを解放し、外気と同じ温度に管理する。1月下旬からハウスを閉じて加温(設定温度20℃)することにより、2月中旬に開花させ、6月上旬には収穫することができる。冬の寒さにより自発休眠の覚醒が早いことから、温暖地ではできない施設加温作型である。
  4. 従来の梅雨時期収穫の作型よりも日射量が多い時期に成熟期を移行できることから、果実品質が向上する(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 果実肥大、熟期促進のため開花1ヶ月後のジベレリン果梗部処理は必ず行う。
  2. 周年被覆のため施設は単棟ハウスで融雪設備を完備する必要がある。
  3. 波状棚の形状を生かした加温開始から新梢伸長開始期までの二重被覆により燃料消費量を節減することができる
  4. 『日本なし「幸水」の施設栽培シミュレーションシステム(平成9年成果情報)』を利用して加温開始期、設定温度を決定し、開花期、収穫期の調節を行う。
  5. 今後、果実収量・品質の安定性について検討する。
図表1 214419-1.gif
図表2 214419-2.gif
図表3 214419-3.gif
図表4 214419-4.gif
カテゴリ 施設栽培 早期成園化 日本なし

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