タイトル |
「ファイバースノウ」の福井県における特性と栽培技術 |
担当機関 |
福井県農業試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
「ファイバースノウ」は「ミノリムギ」に比較して、粒張りが良く、精麦適性が優れる六条皮麦品種である。福井県において新たに奨励品種に採用し、県下全域での作付けを計画している。初期生育は旺盛になりやすく、越冬後の凋落を防ぐため適期播種及び追肥管理が重要である。
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背景・ねらい |
「ファイバースノウ(東山皮96号)」は、長野県農事試において昭和62年(播種年度)に「東山皮85号」を母、「東山皮86号」を父として交配された後代系統である。平成8年以降の試作の結果、優れた特性が認められ、栽培上の留意点もいくらか明らかになった。特にミノリムギでは年により細麦が多発し収量変動も大きかった点に対して改善効果が期待される。
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成果の内容・特徴 |
- 「ファイバースノウ」の主な特性(「ミノリムギ」対比 (表1))。
1)出穂期はやや早いが、成熟期はほぼ同じである。 2)稈長は約7cm短く、穂長も短いが、株内での揃いが良く、やや強稈で倒伏に強い。 3)穂数はやや多く、収量性は同等以上で、粒張りが良いため、製品収量はさらに多い。 4)精麦時間が短く、白度も高い。黒条線は細くて浅く、色沢は鮮明で精麦適性が高い。 ただし硝子粒と欠損粒が多くなることがある。
- 福井平坦部における播種適期は10月中旬、その際の播種量は6kg/10a(160~180粒/㎡)程度(条播)、施肥量は窒素成分で10a当たり基肥に6kg+年内追肥で3kgが目安である(図1)。これは「ミノリムギ」の適正範囲と大きな違いは無い。
- 「ミノリムギ」に比べ、年内の生育は旺盛(図2)だが、反面、肥効が切れてくると冬季の葉の黄化も激しい。これまでの減収事例では、越冬以降の茎数(穂数)がミノリムギより少なくなっていた(図3)。
従って栽培管理に当たっては、冬以降の凋落を防ぐために、1)適期播種(早播きを避ける)、2)適期適量の追肥(不足や遅延しない)が特に重要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 止葉展開期以降の後期追肥は行わず、硝子粒の発生を避ける。
- 地域ごとの栽培基準はこれまでの「ミノリムギ」栽培の経験も参考に組み立てる。
- 雲形病の罹病はこれまで確認されていないが耐性は弱いので、発病を見たら関係機関と連携し、蔓延を防ぐ。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
硝子粒
栽培技術
施肥
播種
品種
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