タイトル |
ぶどう「安芸クイーン」の着粒安定法 |
担当機関 |
石川農業総合研究センター |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ぶどう「安芸クイーン」の有核栽培において、強樹勢による花振るい(不受精等による果粒の歯抜け状態)が起きる場合は、調整枝の利用により、秀品率が向上し、有核栽培の着粒安定法として有効である。
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背景・ねらい |
ぶどう「安芸クイーン」は「巨峰」以上の食味であるが、「巨峰」より花振るい性が強く、有核栽培の経営を安定させるためには花振るいを防止する必要がある。 そこで、無核栽培から弱樹勢で栽培する有核栽培への移行時や、窒素の施肥を控えても新梢が強く伸びる花振るいの止まらない強樹勢の樹に対し、現場対応可能な着粒安定法について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 調整枝とは、強勢な樹の樹勢をコントロールするため冬季せん定時に残して置き、有核粒の着粒確認後に除去する枝で、強く伸びた1年枝の先端を切らずに、直径1m程度のリング状に結束 して棚下に誘引し(図1)、5月27日切除した。
- 無核栽培から有核栽培へ移行するため、慣行せん定によって残す母枝の他、調整枝として慣行せん定の1.5倍の芽数を残した。(せん定の強度は、結果母枝の総芽数を地上高90cmの主幹断面積(c㎡)で割った値で9~11に調整した。)
- 調整枝利用樹では有核粒の着粒密度が摘粒時の基準値である3より高い3.40個/cmで((図2、図3)、慣行せん定樹より22%多く着粒した。
- 調整枝利用樹では、慣行に比べ10cm~30cmの弱い枝(有核粒の着粒が多い)の割合が多く、逆に150cm~170cmの強い枝(有核粒の着粒が少い)は少なかった(図4)。
- 調整枝利用樹では収穫時の果房重が352.8gと慣行より10%程度重く、糖度、カラーチャート色値は慣行より若干高く(表1)、秀品率は60.4%と慣行より13.5ポイント高くなっり果実品質の向上を図ることが出来た(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
- 花振るいしやすい大粒品種「巨峰」、「ブラックオリンピア」等の有核栽培の着果安定方法としても有効で、従来の断根による樹勢調節より樹の負担が少ない。
- 調整枝を多く残すと、樹勢を弱めるので調整枝の芽数は、樹勢、土壌条件によって調整する必要がある。
- 適正な樹勢に調整後は、従来の長梢せん定法にもどす。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
カラー
経営管理
施肥
品種
ぶどう
良食味
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