タイトル |
茎頂培養とRT-PCR法によるウイルス検定を組合わせたジネンジョのウイルスフリー化 |
担当機関 |
新潟県農業総合研究所 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ジネンジョを茎頂培養して幼植物体を育成した後、RT-PCR法によってウイルス検定を行なうことで、確実にウイルスフリー化した苗を供給することができる。
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背景・ねらい |
ジネンジョ(Dioscorea japonica Thunb.)は栄養繁殖性植物であり、ウイルス(JYMV:ヤマノイモモザイクウイルス)感染によって生育および収量が著しく低下する。新潟県内においては、中山間地域を中心にジネンジョの産地化が進み、栽培面積および生産量が徐々に増加しているが、ウイルス感染による収量低下が問題となっている。そこで、ウイルスフリー化したジネンジョ苗の大量増殖法およびRT-PCR法によるウイルスの高感度検定法を確立し、高品質種苗の安定供給を図り、中山間地農業の活性化に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 県内に自生しているジネンジョのムカゴから発生したツルを材料として、図1に従ってウイルスフリー化苗を作出する。
- 茎頂はツルの先端部および腋芽から採取し、葉原基4~5枚、大きさ0.3~0.5mmのものを乾燥に注意しつつ摘出し、培養する。
- 茎頂培養には多量要素を1/2量とし、NAAを0.1mg/l、BAを0.1mg/l添加したMS固体培地を用い、その後の発根・伸長培養には植物ホルモンを含まない上記の培地を用いる。
- RT-PCR法によるウイルス検定は次の要領で行う。
(1) 葉片よりSDS-フェノール法によってRNAを精製し、1 μgをRT-PCR反応に供する。 (2) RT-PCR反応のプライマーには5'-ATGGT(TG)TGGTG(TC)AT(TA)GA(AG)AA(TC)GG-3'と5'-GC(TC)TTCAT(TC)TG(AG)(TA)(TG)GTG(TG)GC(TC)TC-3'を用いる。 (3) RT-PCR反応は、50℃で30分間、94℃で2分間処理した後、94℃30秒間、55℃30秒間、72℃30秒間のサイクルを30回繰り返すことにより行う。 (4) 電気泳動によって320 bpの位置にバンドが検出されるかどうかで、ウイルスの有無を確認する(図2)。 (5) ウイルス検定の結果、当該茎頂培養法によるウイルスフリー化率は、実験値で64%(50個体中32個体)であった。
- ウイルスフリー化が確認された個体は、節培養によって大量増殖を行う。節培養にはNAA0.002mg/l、BA0.02mg/lを添加したMS液体培地を用い、ツルは葉身を付けたまま節毎に切断して培養する。
- これまでに2系統470個体の順化苗を得たが、培養変異は見られなかった。
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成果の活用面・留意点 |
- 培養施設、PCR装置、遠心器などを有するJAや地域の生産団体および農業高校などでも実施可能である。
- ウイルス検定に必要な装置一式は約200万円、分析試薬等は一検体当り約400円前後である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
乾燥
中山間地域
繁殖性改善
やまのいも
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