水稲F1葯培養で得られる倍加半数体の穂系統内分離

タイトル 水稲F1葯培養で得られる倍加半数体の穂系統内分離
担当機関 石川県農業総合研究センター
研究期間 2000~2003
研究担当者
発行年度 2000
要約 イネのF1葯培養において、倍加半数体(A2世代)における穂系統内分離の頻度を、約10%程度と推定した。これを目減り分として補正し、適正な葯培養規模を設定するための指針とする。
背景・ねらい 水稲育種において、F1葯培養法は初期世代の選抜を容易にし、育種年限の短縮に役立つとして利用されているが、改善すべき点も多い。問題点のひとつが、遺伝的に均一なはずのA2世代の穂系統内で発生する分離である。様々な系統での分離の程度を評価し、併せて分離を減らすための方法を検討し、葯培養による水稲育種の効率化を図る。
成果の内容・特徴
  1. 立毛期に分離した系統の割合を、各年度の平均値で見ると、1996年は 13.9%、1997年は 16.1%と10%を越えた(表1)。1998年~2000年は、立毛期で各々 8.8%、6.9%、8.5% と、やや少なく、また幼苗期の分離は 2.4%、1.2%、2.8%であった。
  2. F1の親に使われた品種のうちで、「ふ系166号」、「トドロキワセ」を用いたA2世代では分離が一般に多く(立毛期、20%以上)、一方、「フジヒカリ」、「岩手51号」では分離が少ない(立毛期、5%未満)。
    分離の例.  予286/北陸182号(2000年度).予286:石川県の予備系統.
      播種箱で108穂のうち5系統が分離して廃棄. 幼苗期の分離:4.6%=5/108.
      内訳:アルビノ2系統、黄色葉1、淡緑葉2.
      本田に移植した100系統のうち、10系統が分離. 立毛期の分離:10.0%=10/100.
     主な分離の内訳:稈長3系統、出穂日2、不稔2、草型2、葉色1(図1).
  3. 分離の頻度と液体培地の使用との関連を検討したが、分離する系統の割合に液体と固体で明瞭な差は見られず(表2)、液体培地の使用には問題がない。
  4. 他家受粉が分離の一因に成りうるとみて、A1世代を稔実株と半不稔株とに区別したが、A2世代の分離系統の割合に有意差はなかった(表3)。半不稔の穂も選抜に供して差しつかえない。
  5. 10%程度の穂系統内分離があり得ることを前提として、A2世代の穂系統の目標数を決める。それから遡って、初期の段階から葯培養の規模を10%相当増加させる。
成果の活用面・留意点
  1. 現在のところ、分離の主原因とされる培養変異の発生を制御する有効な方法がない。
     培養法の改善に伴う分離の基礎データの蓄積が必要である。
図表1 214512-1.jpg
図表2 214512-2.JPG
図表3 214512-3.JPG
図表4 214512-4.JPG
カテゴリ 育種 受粉 水稲 播種 品種

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