ブラジルの亜熱帯サバンナ(セラード)に生育する熱帯イネ科牧草の窒素利用特性〔研究〕

タイトル ブラジルの亜熱帯サバンナ(セラード)に生育する熱帯イネ科牧草の窒素利用特性〔研究〕
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2000~2002
研究担当者 C. H. B. Miranda (ブラジル農牧研究公社肉牛研究センター)
菅野勉(東北農研)
大脇義成(中央農研)
中村卓司
発行年度 2002
要約 ブラジル亜熱帯サバンナ(セラード)で主に栽培されているイネ科牧草のBrachiaria decumbens,B. brizanthaは窒素反応性が高い。またB. humidicolaは根の窒素吸収能力が高いため、低窒素環境での栽培に適している。
背景・ねらい Brachiaria
brizantha(BB),B.
humidicola(BH)の3種が栽培されており、これら牧草の窒素栄養に関する生理学的知見は極めて少ない。これらの熱帯イネ科牧草の窒素吸収とその利用を明らかにする。

成果の内容・特徴
  1. BD,BB,BHを供試し、ポットにて3段階の窒素施肥(0, 50,
    150 kgN/ha相当、以後各処理区を0N,1N,2N区と略す)をおこない栽培した。その結果、BB, BDは窒素施肥反応性が高く施肥量の低下にともない乾物重は低下する(図1)。BHの窒素施肥反応性は他の牧草種と比較して小さく、施肥窒素量の減少にともなう乾物重の低下は大きくない。このことからBHは他の牧草種より低窒素環境下での栽培に適している。また、その時の0N区の植物体の相対窒素吸収速度(RAR)はBHで他の牧草種より高い(図2)。
  2. Panicum
    maximum(PM), BB, BD, BHの窒素固定による植物体窒素への寄与率(%Ndfa)を15N自然存在比法を用い推定した。その寄与率は9-27%であり、BHでBB,
    BDより低い(表1)。つまり、BHで他の牧草種より土壌窒素に依存している。
  3. 植物の窒素吸収速度はミカエリス-メンテンの式(式1)に従うことが知られており、この式を用い各牧草種の根の窒素吸収のカイネティック解析を行った。BHでKm値が他の牧草種より低い(表2)。このことはBHが硝酸態窒素に対して親和性が高く、低窒素濃度下でも窒素を吸収する能力が高いことを示す。

成果の活用面・留意点 ブラジル亜熱帯サバンナ(セラード)地域における低養分環境下に適応した牧草の品種改良ための生理学的特性として利用できる。また、肥沃度が異なるセラード牧草地の土壌に適応した牧草の選択指針として参考になる。

カテゴリ 肥料 亜熱帯 施肥 品種改良

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