タイトル |
(参考)ヨーロッパ型とインド型ミトコンドリアDNAを識別するPCR-RFLP法 |
担当機関 |
(独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2002~2002 |
研究担当者 |
小松正憲
大島一修
小島孝敏
安田康明(島根畜試)
安部亜津子(島根畜試)
長谷川清寿(島根畜試)
安部茂樹(島根畜試)
白石忠昭(島根畜試)
万年英之(神戸大学)
辻壮一(神戸大学)
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発行年度 |
2002 |
要約 |
ウシ・ゲノムDNA、制限酵素ScaIおよび5%ポリアクリルアミド電気泳動を用いたPCR-RFLPにより、ヨーロッパ型とインド型ミトコンドリアDNAを識別できる。
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キーワード |
ミトコンドリアDNA、ヨーロッパ型、インド型、PCR-RFLP
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背景・ねらい |
熱帯地域各国では、インド型mtDNAをもつ在来牛をヨーロッパ牛品種と交雑し改良を進める場合が多い。しかし、ヨーロッパ系とインド系に大別できる母系ラインの把握はほとんど行われていない。そこで、黒毛和種やフィリピン在来牛等肉用種8品種および岡山県ジャージー種等乳用種3品種を用いて、D-loop領域の変異性ならびにmtDNAコーディング領域のRFLP解析と塩基配列の変異性の検討を行い、ヨーロッパ型とインド型mtDNAを識別できる簡便なPCR-RFLP法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ゲノムDNA約50ngとND4のScaIサイトを挟む塩基部分(343bp)を増幅するプライマーを用いてPCRを行い、そのPCR産物2μlを5ユニットの制限酵素ScaI消化(1時間)し、5%ポリアクリルアミド電気泳動を行いエチジウムブロミドでDNAを染色する(図1)。
- そのDNA切断パターンからヨーロッパ型のmtDNA(233bp、110bp;切断型パターン)とインド型mtDNA(343bp;非切断型パターン)を区別できる(図2)。
- ウシ66個体のゲノムDNAを用いて、制限酵素ScaIによるミトコンドリアDNAのLA-PCR-RFLPバンドパターン、D-ループ領域(436bp)の塩基配列の変異パターンおよび本PCR-RFLPによるヨーロッパ型mtDNAとインド型mtDNAの識別は完全に一致する(表1)。
- 本法を用いて、岡山県ジャージー種集団、フィリピン在来牛3品種(バタンガス種、 イロコス牛、イロイロ牛)、フィリピン大学けい養アメリカンブラーマン種交雑集団およびホルスタイン種交雑集団には、ヨーロッパ型mtDNAとインド型mtDNAをもつ個体が存在する。
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成果の活用面・留意点 |
- 本PCRの条件は、Ready-To-Go-PCR Beads (Amersham Pharmacia
Biotec. Inc.)を用いたものであり、PCRのアニーリング温度条件以外は変更可能である。 - 岡山県ジャージー種集団や熱帯地域各国において、ヨーロッパ型とインド型mtDNAをもつ個体が混在している集団で、両mtDNA型の識別に有効である。
- 両mtDNA型が混在している集団では、産肉形質や泌乳形質の母系ラインからの育種改良に有効な手法となる可能性がある。
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カテゴリ |
育種
品種
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