イネの低分げつ性遺伝子の同定

タイトル イネの低分げつ性遺伝子の同定
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 1999~2004
研究担当者 Gurdev G. Khush(IRRI)
Jhon E. Sheehy(IRRI)
Leodegario A. Ebron(IRRI)
加藤 浩(宮崎県総農試)
荒木悦子(近中四農研セ)
常松浩史(JIRCAS)
福田善通(IRRI)
発行年度 2003
要約 日本型イネ品種第8 染色体DNA マーカー,RM149 とXNpb56
背景・ねらい 国際イネ研究所(IRRI)で開発され,次世代の草型を示すNew Plant Type(NPT) 稲は,その低分げつ性と超穂重型に特徴がある。しかし,登熟や病害抵抗性に問題があり,従来育成されてきたIRRI
のエリート品種IR64 やIR72 より優れた生産性や安定性を確保することが難しかった。そこでIR64 やIR72登熟や生産特性を生かし,かつ低分げつ型の稲を作ることがIRRI
内の研究プロジェクトの一貫として望まれた。ここで遺伝子源素材として,日本型品種,合川1 号と秀峰の低分げつ性のNTP 育種への利用が考えられた。なお、合川1
号と秀峰の低分げつは,単一の優性遺伝子により支配されていることが確認されている。
本研究では,これら品種の低分げつ性の遺伝様式を明らかにするとともに,その遺伝子を用いIR64 やIR72遺伝的背景をもった同質遺伝子系統を開発し,NPT
型の多収性品種の育成・研究に資する。
成果の内容・特徴
  1. 合川1 号と秀峰の低分げつ性における対立性検定では,両品種の低分げつ性の遺伝子が同一の遺伝子であることを示した(図1 )。
  2. この低分げつ性遺伝子は,第8 染色体の長腕上のSSR マーカーRM149 とRFLP マーカーXNpb56
    の中間に位置する(図1 )
  3. この染色体領域にはこれまで分げつに関する遺伝子の報告がないことから,新規の低分げつ性(Low tiller number)遺伝子として,遺伝子記号Ltn(t)を仮称した。
  4. この遺伝子はイネの形態形成に関する重要な遺伝子であると考えられ,IR64 とIR72遺伝的背景を持つ同質遺伝子系統(BC5F4)を育成中である(図2
成果の活用面・留意点
  1. 合川1 号および秀峰の低分げつ性に関する遺伝様式や遺伝子座情報は,Ltn(t)のDNA マーカーを用いた間接選抜(MAS)法による育種や,遺伝子地図情報に基づいた遺伝子単離(マップベースドクローニング)の研究に利用できる。
  2. Ltn(t)と,マーカーとの距離がまだ遠いので,効率的選抜を進めるためにはさらに近接したマーカーを見つける必要がある。
  3. 育成中の同質遺伝子系統は,イネの草型の制御に関する遺伝的要因を解明やインド型品種育成の育種素材として資することができる。
図表1 214593-1.jpg
カテゴリ 育種 多収性 DNAマーカー 病害抵抗性 品種

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