タイトル |
窒素固定エンドファイトのイネでの組織内定着性評価の実験モデル開発 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
Adel Elbeltagy(筑波招へい)
R.H.Hernandez-Oane(筑波招へい)
安藤康雄
佐藤健次(九州沖縄農研)
小林良次(九州沖縄農研)
服部育男(九州沖縄農研)
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発行年度 |
2003 |
要約 |
を明らかにできる。
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背景・ねらい |
植物体内に共生的に生息している窒素固定エンドファイトに関してサトウキビやイネなどのイネ科植物で報告が近年相次いでいることから、これまでに各種のイネ科牧野草から窒素固定能を有するAzospirillum 属、Klebsiella 属、Herbaspirillum 属等の細菌を多数分離してきた。これら分離菌株の植物内での窒素供給源としての寄与について明らかにするには、接種試験による組織内定着性の検討が不可欠である。そこで、種子の入手が容易で試験管内での無菌的な培養も比較的容易なイネを用いて窒素固定エンドファイトの接種法の実験モデルを確立し、感染状況を解析して植物内での組織内定着性評価のための基礎とする。
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成果の内容・特徴 |
- イネ品種「スプライス」、「Tetep」、「コシヒカリ」と、ギニアグラスから分離したHerbaspirillum
sp. A46 株とを用いて窒素固定エンドファイトの試験管内での接種法を開発した。籾殻を除去し表面殺菌した種子をLB 培地あるいは改変Rennie 培地上(30 ℃、暗黒下)で3 ~ 4 日間発芽させる。培地上で菌の生育がみられない発芽種子を試験管内の窒素源を含まないイネ培養培地上に移植し、陽光定温器内(培養温度27 ℃、昼光14 時間)に保持する。移植後3 日目にHerbaspirillum sp. A46 株の対数増殖期の菌液を幼苗の株もとに接種する。上記の条件で栽培し順次各種試験に供する。
- 地から抜き取った植物体を表面殺菌し磨砕した後、これを順次希釈し改変Rennie 培地を含む試験管に接種する。一定時間培養後にアセチレン還元能を測定し、窒素固定細菌の植物内での菌密度を最確値(MPN)法により確定する(図1
)
- 植物内での窒素固定細菌の増殖に及ぼす窒素源添加の影響評価は、無窒素培地と10μM NH4Cl 添加培地でそれぞれ栽培した植物体内の菌密度を比較することにより行う(図2
)
- 光学および透過型電子顕微鏡を用いた観察により、接種細菌の侵入部位および植物内での増殖部位が明らかになる(図3 )。また、植物内での増殖部位を視覚化するにはgusA
遺伝子を導入した細菌のイネ幼苗への接種試験が有効である(図4 )。
- 植物内での接種細菌のニトロゲナーゼ活性の評価には、培地中(植物体外)で増殖の細菌を排除するために植物体を培地から取り出し培地を含まない新しい試験管に移し替えて、外部からの炭素源供給がない状態でアセチレン還元活性を測定する。
- 以上の結果をもとに、分離した窒素固定細菌のイネ植物体内での組織内定着性を評価する。
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成果の活用面・留意点 |
- この実験モデルは幼苗を用いたものであり、植物体を大きく育てた場合の感染状況の検討が必要である。
- 15N を用いたフィード実験等により、宿主植物の生育への窒素固定細菌の寄与度を明らかにする必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
さとうきび
品種
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