タイトル |
イネいもち病抵抗性遺伝子「Pish 」は第一染色体長腕に位置する |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1999~2004 |
研究担当者 |
Gurdev G. Khush(IRRI)
Leodegario A. Ebron (IRRI)
Mary Jeanie T. Yanoria(IRRI)
荒木悦子(近畿中国農業セ)
福田善通(IRRI)
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発行年度 |
2004 |
要約 |
〔イネいもち病の抵抗性遺伝子Pishは、イネ第一染色体長腕上のSSR
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背景・ねらい |
イネいもち病の抵抗性遺伝子Pishは多くの日本産菌系には親和性であるが、ほとんどのフィリピン産菌経にたいしては非親和性であるため熱帯菌系にたいし有効であると考えられる。しかし不完全な抵抗性反応であるため、これまで本遺伝子の解析は困難でその遺伝子座は特定されていなかった。 近年、DNAマーカーを用いた量的形質遺伝子座(QTL)分析や間接選抜(MAS)法などの新しい遺伝子分析や系統育成法により、これまで困難とされてきた農業形質に関する遺伝的要因の同定が可能となってきている。そこでPishの有無が明らかなアキヒカリと密陽23号との雑種集団やそれらの子孫を用い、DNAマーカー分析手法による遺伝子座の同定を試みる。
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成果の内容・特徴 |
- 判別システムを用いた解析で、アキヒカリは日本菌系に対してはレース特異的な反応をするが、ほとんどのフィリピン菌系に対しは不完全な抵抗性を示す。また4種類の遺伝子PishおよびPizの対立遺伝子(Piz,Piz-5,Pi9)は、フィリピン菌系にほとんどに対し抵抗性反応を示す。これらのことから、4種のいずれかの遺伝子がアキヒカリに含まれていると推定される。
- インド型品種、密陽23号と日本型、アキヒカリとの交配から育成したリコンビナント・インブレッドラインで、日本産9菌系およびフィリピン産6菌系に対する抵抗性をQTL解析すると、第一染色体の長椀にアキヒカリの遺伝子型でフィリピン菌系のみに特異的に反応するQTLが検出される。
- Pizの対立遺伝子は第6染色体上に座乗することが既に明らかにされている(Yu et al.,
1991)。またこの染色体領域に、アキヒカリ型で抵抗性を示すQTLは検出されていないことから、第一染色体長椀のQTLがPishに対応すると考えられる。
- Pishのみに非病原性を示す菌に対して、第一染色体長腕が密陽23号由来の染色断片置換系統とアキヒカリとの戻し交雑集団を用いた抵抗性解析では抵抗性の単一遺伝子分離が示され、さらにこの遺伝子がSSRマーカーRM212とOSR3との中間にそれぞれと7.9および15.2cMの距離をもち連鎖する(図1)。
- またインド型系統CO39の遺伝的背景に3種の判別品種、クサブエおよび新2、BL1由来のPishを導入した同質遺伝子系統におけるグラフィカルジェノタイプにおいては、第一染色体長腕上に日本型品種由来の染色体移入が検出され、Pish座乗領域が確認できる(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- Pishに関する遺伝様式や遺伝子座情報は、DNAマーカーを用いた間接選抜(MAS)法による育種や遺伝子の地図情報に基づいた遺伝子単離に向けた研究に利用できる。
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カテゴリ |
育種
いもち病
DNAマーカー
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
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