キャッサバパルプを用いた効率的な燃料エタノール生産技術の開発

タイトル キャッサバパルプを用いた効率的な燃料エタノール生産技術の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 Pilanee Vaithanomsat(カセサート大学農学
Warunee Thanapase (カセサート大学農学
近藤昭彦(神戸大学工学部)
小杉昭彦
植田充美(京都大学農学部)
森隆
村田善則
農学工業製品改良研究所)
農学工業製品改良研究所)
発行年度 2006
要約  アルコール発酵用実用酵母の細胞表層にアミラーゼを提示させたアーミング酵母を開発し、この酵母を用いてキャッサバデンプン産業副生物のキャッサバパルプを原料としてエタノール生産を行ったところ、キャッサバパルプの主成分であるデンプンの分解と発酵が同時に進行し効率的にエタノールが生産された。
背景・ねらい
 キャッサバはタイ、インドネシアでそれぞれ約2、000万トン/年生産される東南アジアの代表的な農作物であり、飼料やデンプンとして利用されている。デンプン製造工程では大量の絞りかす(キャッサバパルプ)が排出されるが一部が飼料や肥料として利用されているのみで有効な利用方法がない。そこで、キャッサバパルプを原料として燃料用エタノールを製造するための技術開発を行う。その際、低コスト化を目的に、アーミング酵母技術を用いて、アルコール発酵用実用酵母の細胞表層へアミラーゼを提示させ、主成分であるデンプンの糖化と発酵を同時に行う。一倍体酵母にアミラーゼを提示させた例はあるが、アルコール発酵用実用酵母(二倍体)へアミラーゼを提示させエタノール生産を試みた例はない。
成果の内容・特徴
  1. タイにおける現地調査により、キャッサバデンプン工場では、キャッサバ塊茎重量の20~30%のキャッサバパルプが排出されていることが分かった(図1)。
  2. 成分分析の結果、キャッサバパルプには100g(乾燥重量)あたり、デンプンが60.6g、セルロースが19.1g含まれていた(表1)。
  3. デンプン成分の直接エタノール変換を目的として、アーミング酵母技術(細胞表層蛋白質α-アグルチニン遺伝子を活用して異種蛋白質を酵母の表層に発現させる技術)により、アルコール発酵実用酵母株、清酒酵母協会7号(K7)を宿主としてRhizopus oryzaeのグルコアミラーゼを細胞表層に提示した酵母(K7G)を造成した(図2)。
  4. キャッサバパルプを穏和な水熱処理(140℃、1時間)及びセルラーゼ処理(Trichoderma reesei由来、 Sigma社製:キャッサバパルプ1gあたり3Uを用い、50℃、72時間反応)しセルロース成分を糖化した後、K7G株を用いてエタノール発酵を行うことにより、効率的にエタノールが生産され、5及び10%(w/v)のキャッサバパルプから16.8g/l及び26.5g/lのエタノールが生産される。

成果の活用面・留意点
  1. キャッサバパルプ濃度の上昇に伴い変換収率が低下するため(水熱処理の際、阻害物質が生成すると推定される)、高収率が求められる場合には、適正な原料濃度(5%程度)でエタノール生産を行うのが望ましい。
  2. アミラーゼ無添加でデンプン成分をエタノールへ変換できるため、酵素経費の削減ならびに工程の簡素化が可能で、大幅なコスト削減が期待できる。

図表1 214677-1.pdf
図表2 214677-2.gif
図表3 214677-3.gif
図表4 214677-4.gif
図表5 214677-5.gif
図表6 214677-6.gif
カテゴリ 肥料 乾燥 コスト 低コスト

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