一遺伝子系統の反応に基づいたイネいもち感染型の評価基準

タイトル 一遺伝子系統の反応に基づいたイネいもち感染型の評価基準
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 林 長生(農業生物資源研究所)
福田善通(国際農林水産業研究センター)
発行年度 2008
要約 イネいもち病の真性抵抗性遺伝子を個々に有する23種のLTH一遺伝子系統群に対する病斑の感染型による評価基準は、各遺伝子の抵抗性程度も考慮しており、正確な抵抗性や罹病性の判定に利用できる。
背景・ねらい
 イネいもち病菌レースを決定する際、葉身に形成された病斑の感染型により抵抗性(R)または罹病性(S)に二値化する。国際的ネットワーク下でレース判別システムを普及するためには、検定結果の統一化を図るための判定基準を明確にする必要がある。近年、国際農林水産業研究センターと国際稲研究所との共同研究により一遺伝子系統(判別品種)群が開発されたので、これらの反応に基づいた抵抗性遺伝子ごとの病斑評価基準を策定する。
成果の内容・特徴
  1. 判別品種としての23種の真性抵抗性遺伝子を対象とした一遺伝子系統群を用いて、イネいもち病菌菌系の病斑の感染型を正確に評価し、それら反応パターンによりレース判定する。
  2. その際、本評価基準によりいもち病菌胞子懸濁液のイネ判別品種群苗噴霧接種後に、イネ葉身に生じた病斑の感染型を抵抗性あるいは罹病性として判定する。
  3. 感染型を0~5の6段階に分け、感染型0は肉眼では褐点も見えない強い抵抗性、一方、感染型5は一次支脈2本を越えて拡大した大型の病斑とする。
  4. 感染型2と感染型3をR/Sの境界とするが必ずしも画一的でなく、抵抗性の感染型は抵抗性遺伝子の種類により判定する。
  5. すなわち、無病斑型(Piz-tなど)、褐点型(Piaなど)、一次支脈に収まる小型病斑型(Pizなど)、一次支脈幅程度または越える病斑型(Pishなど)がある。
成果の活用面・留意点
  1. イネは昼温25~28℃、夜温20~22℃の温室条件下で15~21日間、多肥育苗する。3.6葉期~4.6葉期前後の葉令(不完全葉を含まず)のイネにいもち病菌を胞子濃度2 × 104個/ml程度の懸濁液に調製し、均一に噴霧する。
  2. いもち病菌は、病原性の低下を防ぐため罹病イネから分離時に、ろ紙法などで保存した菌株を用い、胞子形成処理後2~3日後の活性の高い胞子を供試する。
  3. 病斑型の観察は接種5日目に予備調査を行い、最終判定は接種7~8日後に行う。特にPishの感染型は、接種5日まで抵抗性と罹病性反応に違いがなく判定が困難である。
  4. また、感染型は接種時におけるイネ葉の展開程度、育苗環境、いもち病菌株の病原力の強弱などにより影響を受ける。いもち病菌株の病原力が低下している場合、標準種のLTH(抵抗性遺伝子を持たない)を基準として調整する。
  5. 一次支脈幅または越えて拡大する小型病斑(感染型2または感染型3)が多数生じた場合、それらが融合すると罹病性病斑と間違える恐れがあので、胞子懸濁液濃度を2 × 104個/ml程度に調製する。特に判別品種、IRBL1-CL、IRBLkm-Ts、IRBLkh-K3、IRBLta2-Pi、IRBLta2-Reでは孤立病斑を対象に判定するように努める。
  6. フィリピン、インドネシア、ベトナム、中国、韓国、IRRI、WARDA等のネットワーク参加の研究者で利用すると共に、JIRCAS working reportや国際学会の場を通じて、広く公表していく予定である。
  7. 本評価基準は一遺伝子系統群を用いた場合のものであり、複数の抵抗性遺伝子を有する品種には用いない。
  8. 一遺伝子系統群は、無償でIRRIへ分譲を求めることができる。
図表1 214713-1.pdf
図表2 214713-2.gif
カテゴリ 育苗 いもち病 抵抗性 抵抗性遺伝子 評価基準 品種

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