中国伝統のおから発酵食品から分離された枯草菌はα-グルコシダーゼ阻害活性を有する

タイトル 中国伝統のおから発酵食品から分離された枯草菌はα-グルコシダーゼ阻害活性を有する
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2011
研究担当者 亀山眞由美(食品総合研究所)
吉橋忠
朱運平(中国農業大学)
八巻幸二
李里特(中国農業大学)
発行年度 2008
要約 中国伝統食品であるおから発酵食品から分離された枯草菌(Bacillus subtilis B2)の代謝物に血糖値を上昇させる働きのある酵素αグルコシダーゼを強く阻害する活性を確認し、その主成分はイミノ糖である1-デオキシノジリマイシンであることを見いだした。
背景・ねらい
 途上国等においても、健康への関心の高まりとともに、食品や農作物の健康機能性に対する要望が強まり、機能性研究・開発は食品の高付加価値化のための有力な方策となってきている。一方、中国等の多くの途上国では、多様な気候風土の下に多様な民族が生活し、固有の伝統食品が発達している。特に、中国には「医食同源」の考え方があり、古来より食事が健康を保つ有効な手段と認識されていることから、中国等の伝統食品には強力な機能性や新規機能性の存在が期待される。本研究では中国伝統のおから発酵食品の初期糖尿病の抑制に有効と推定される血糖上昇抑制作用を解析した。
成果の内容・特徴

  1. 中国伝統食品であるおから発酵物がα-グルコシダーゼ阻害活性を有することを見いだした。
  2. このおから発酵食品から採取された枯草菌(Bacillus subtilis B2)は、その培養上清中に、α-グルコシダーゼの阻害物質を生産した (図1)。
  3. この枯草菌はおから以外の大豆粉、でんぷん等でも良く生育し、特に大豆成分を含む培地では強いα-グルコシダーゼ阻害活性を示した(図2)。
  4. 活性炭カラムクロマトグラフィーを用いて、5%~30%のエタノール濃度勾配により、溶出させた結果、エタノール10%近辺でα-グルコシダーゼ阻害活性が最大となった。陽イオン交換クロマトグラフィ(CM-セファロース)でこの活性画分をさらに、分画しpH3.7付近で最大の阻害活性画分を得た。HPLC(TSKgel amide-80, CH3CN:H2O)でこの活性画分を分析した結果は、標準品の1-デオキシノジリマイシン(DNJ)と一致した(図3)。この活性画分を質量分析した結果、164の分子イオンピークを検出し、NMR測定では、DNJと一致した結果を得た(図4)。
  5. 以上の結果からB. subtilis B2が生産するα-グルコシダーゼ阻害物質をDNJと同定した。
成果の活用面・留意点
  1. 中国伝統食品の一つであるおから発酵物から検出された枯草菌B. subtilis B2は標準的な培地、でんぷん等でも生育する安定な菌であり、同時に抑制活性を産生すると想定され、他の発酵食品に応用可能であり、この枯草菌を用いて、発酵食品を製造することは、血糖上昇を抑制する抗糖尿病食品の開発につながることが期待される。

図表1 214726-1.pdf
図表2 214726-2.gif
図表3 214726-3.gif
図表4 214726-4.gif
図表5 214726-5.gif
図表6 214726-6.gif
図表7 214726-7.gif
図表8 214726-8.gif
図表9 214726-9.gif
カテゴリ 機能性 高付加価値 大豆

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