タイトル |
汎用型不耕起播種機の開発と水稲・小麦・大豆の不耕起播種技術 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
回転する鋭利なディスクで深いY字型の溝を作り、上部のV字型の部分に播種をする水稲・麦・大豆用汎用型不耕起播種機を開発した。畑作では播種溝に直交する弾丸暗渠を施工し播種溝内の排水を促進する。適切な施肥により耕起播種と同等の収量が得られる。
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背景・ねらい |
二毛作限界地帯では、作物切換え時の作業競合が著しいので耕起・砕土を省略できる不耕起播種が適期播種、規模拡大に有効である。そこで、水稲、麦、大豆に汎用できる不耕起施肥播種機を開発し、各作物の不耕起播種技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 直径46cmの切り欠きのある作溝ディスクが逆回転(約100rpm)するので、殘渣がある圃場でも高精度播種ができる。Y字型の溝の深さは最大10cmに達するので、輪換畑では播種前に施工した弾丸暗渠に直交させて播種することにより、播種溝の排水を促進できる(図1、写真1)。また、深い溝は根の伸長を助ける。
- 作物の種類、栽培条件に応じて条間25cm~75cm、条数4~8条の範囲に設定できる。稲、麦、大豆の種子を横溝ロールで繰り出し、播種溝をダブルディスクが追随するので溝内に確実に播種できる(写真1)。施肥位置は、播種溝の直上か側条を選択できる。実用上、安定して作業できる速度は50馬力(36775W)以上のトラクタの場合0.7m/s程度である(表1)。
- 三作物とも70%以上の苗立率が得られた。なお、水稲の高速播種作業の場合、苗立率の低下がみられたが、播種溝へのダブルディスクの挿入角度と覆土機構の不備によるもので、現在は改良を行った(表2)。なお、この播種機は耕起条件でも同じ精度で播種できる。
- 緩効性肥料の播種溝施用して栽培した水稲収量は、灰色低地土(岡山県立農試)では600kg/10a、泥炭土(茨城県新利根村)では移植栽培よりやや劣る530kgであった(表1)。緩効性肥料の播種溝施用を行っても、肥料による濃度障害は起こらない(表2)。
- 灰色低地土(水稲跡:HC)における小麦の収量は、播種直後100mmの降雨があったが耕起栽培よりややまさり、現地(下館:水稲跡:CL)でも550kgの収量が得られた(表1)。
- 大豆の収量は灰色低地土(小麦跡:HC)および泥炭土(新利根村:小麦跡)とも耕起栽培とほぼ同等であった(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
二毛作限界地帯の水田輪作営農における適期播種と規模拡大に有効である。水稲の乾田直播は漏水田には不適である。また、麦、大豆作では播種前に弾丸暗渠を施工する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
乾田直播
規模拡大
小麦
栽培条件
水田
水稲
施肥
大豆
二毛作
播種
輪作
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