タイトル |
混合飼料(TMR)に用いる粗飼料の違いが泌乳前期の乳生産に及ぼす影響 |
担当機関 |
千葉県畜産センター |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
混合飼料中の主な粗飼料を、チモシー乾草、アルファルファ乾草、トウモロコシサイレージとアルファルファ乾草の混合のいずれかとする給与メニューを比較した。その結果、粗飼料の違いは飼料摂取量、乳成分には大きく影響しなかったが、アルファルファ乾草区では7~10週次の間の乳量が高く推移する傾向であった。
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背景・ねらい |
一定量の粗飼料の給与は乳牛の健康保持や正常な乳成分の維持に不可欠であるが、粗飼料の種類・品質は地域、経営形態、流通飼料の価格等の様々な条件によって異なる。これまで我々の共同研究グループでは、チモシー乾草を主な粗飼料として関東東海地域における高泌乳牛のための給与メニュー策定を目指して泌乳試験を実施してきた。今回はこれまで得られた繊維・デンプン・物理性の最適レベル等の試験結果を踏まえた上で、粗飼料の種類の違いが乳生産に及ぼす影響について検討した。
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成果の内容・特徴 |
混合飼料(TMR)中の主な粗飼料を、チモシー乾草(TI区)、アルファルファ乾草(AL区)、トウモロコシサイレージとアルファルファ乾草(風乾物ベースで約1:1の割合;SI区)の何れかとする3区を設定し(表1)、乳牛61頭に分娩後5日目から15週間自由採食させて泌乳試験を行った。サイレージは各試験場で調製し、乾草は1番草を一括購入し、設定切断長2cmで切断して供試した。選択採食を避けるため、乾物割合60%程度に加水し混合飼料(TMR)の形態で給与した。
- 15週間を平均した飼料摂取量、乳量、乳成分には統計的な有意差は認められなかったが、AL区の乳量は7~10週次にかけて高く、TI区の乳脂率がやや高めに推移する傾向であった。分娩後の体重回復は、TI区に比べてAL区で遅い傾向であった。
- ルーメン内容液のpHと酢酸/フ°ロヒ°オン酸比はAL区が低かった。
- 粗飼料源が異なっても、給与飼料全体の成分的バランス(TDN・CP・NDF・デンプン・粗脂肪含量、物理性あるいは粗飼料価指数等)が適切に保たれていれば、摂取量や乳生産に大きく影響しないことが明かとなった。しかし、アルファルファ乾草はイネ科乾草に比べてNDF含量とRVI値が低く、乾草給与量をほぼ同一とした今回の条件では、乳量が増加し乳脂率がわずかながら低下する傾向となった。
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成果の活用面・留意点 |
- 供試乾草の品質、サイレージの発酵状態は良好だった。流通粗飼料では成分的変動が大きい点に注意を要する。低品質な粗飼料では摂取量の低下などが予想される。
- 今回の試験の給与メニューは、泌乳前期に適した高エネルギー高蛋白質のタイプであり、泌乳中後期牛に適用すると過肥等の問題が起きることが予想される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
アルファルファ
経営管理
トウモロコシサイレージ
乳牛
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