作物の蒸発散情報に基づくポリポット苗灌水制御の自動化

タイトル 作物の蒸発散情報に基づくポリポット苗灌水制御の自動化
担当機関 茨城県農業総合センター
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 作物の蒸発散情報に基づく自動灌水制御システムを開発した。野菜苗のポリポット育苗では,このシステムを用いることによって,生育や天候に応じたきめ細かな灌水調節が可能となる。
背景・ねらい 主にポリポットを用いる果菜類の育苗では,健苗育成のために生育段階や天候に応じたきめ細かな灌水管理が要求されるが,市販の土壌水分計や日射計等を用いた自動灌水制御システムの導入はあまり進んでいないのが現状である。そこで,ポリポット苗育成に適用できる自動灌水制御システムの開発を目的に,作物の蒸発散情報に基づく灌水の自動化方法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. システムの構成:灌水むらの少ない点滴タイプの「灌水ホース」及び「灌水ノズル」,灌水ホースに接続した「電磁弁」,電磁弁開動作のための「24時間タイマー」及び閉動作のため「センサー」,吸水ひもの付いた「基準ポット」,基準ポットの下に設置した「貯水槽」等によって構成される。灌水ノズルを貯水槽及び灌水対象のポットに設置しているので,貯水槽への水の補給と苗への灌水は同時に行われる(図1)。
  2. 電磁弁の開閉方法:設定した灌水時刻に電磁弁が開動作を始め,灌水が開始する。貯水槽の水位が上昇し,センサーの感知部に触れると電磁弁が閉動作を始めるが,閉動作中でも灌水が継続するため灌水終了時にはセンサーの感知部が水面下となる。なお,センサーの感知部が水面に接した状態では,灌水時刻になっても電磁弁は開動作をしない(図2)。
  3. 基準ポットの重量変化は,ほぼ作物生体重の増加によってのみ生じるため(図3),貯水槽の水位の低下は,基準ポットで生じる蒸発散と連動して発生する。
  4. 本システムによって,極端な過乾および過湿を防ぎながら(図3),生育段階や天候に応じたきめ細かな灌水量の調節を行うことができる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本システムは,果菜類のポリポット育苗に広く適用できる。
  2. 基準ポットに用いる育苗用土の質および量は,灌水対象のポリポットと同一にする。
  3. 灌水量の調節は,貯水槽に設置した灌水ノズル数を変えることによって行う。なお,適切な灌水量は,作目,栽培時期,育苗用土質等によって異なるが,基準ポットの蒸発散量のおおむね60~90%程度である。
図表1 214879-1.gif
図表2 214879-2.gif
図表3 214879-3.gif
図表4 214879-4.gif
カテゴリ 育苗 水管理

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