胚珠培養によるシクラメンの半数性個体の育成

タイトル 胚珠培養によるシクラメンの半数性個体の育成
担当機関 神奈川県農業総合研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 形質の分離幅が大きい4倍性シクラメンの均一性の向上を目的に、染色体数の減数のための胚珠・葯培養を行った結果、半数性(2倍性)個体を育成することができた。
背景・ねらい 現在、大鉢用シクラメン品種は4倍性が主であり、形質の分離幅が大きいため、均一性の向上が望まれている。そこで、形質固定の効率化を目的とした4倍性シクラメン品種の染色体の減数のための胚珠および葯培養を行い、半数性(2倍性)個体の育成を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 培養条件:胚珠の好適培養条件を明らかにするため、MS培地の窒素成分を1/2以下に希釈し、3%シュークロース、10%ココナッツミルク、NAA0.5mg/lを添加した修正MS培地(表1)を基本として、2,4-D添加および供試材料の発育ステージ等の初期培養条件が植物体分化におよぼす影響を調査した。培養は20℃暗黒下で行い、カルス形成後生長調節物質を含まない修正MS培地に移植し培養を継続した。その結果、培養開始約11か月後に、胚珠および葯培養ともに植物体が分化した(表2)。好適培養条件は供試組織により異なるが、2,4-D2mg/lを添加した修正MS培地に花蕾長12mm以下の比較的若い組織が培養に適すると推測される。
  2. 倍数性:本培養によって得られた22個体の染色体数を調査した結果、2倍性、4倍性および異数性個体が確認された(表3)。同一のカルス由来個体の中には2倍性および4倍性個体が確認されたことから、4倍性個体は自然倍加個体の可能性が高いと考えられる。
  3. 以上の結果から、胚珠培養によるシクラメン半数性個体を育成することができた。
    特徴:従来、種々の作物で半数体を得るには葯培養が行われることが多かった。シクラメンについても葯培養による半数性個体の育成が報告されているが、花粉由来半数性個体の分化と同時に葯基部組織からも母本と遺伝的に同一の植物体が分化する欠点が存在する。今回報告した胚珠培養はこれまで培養に用いられることの少なかった雌性配偶子を有効に利用する点、およびこれによって上記の葯培養の欠点を補う点に特徴がある。
成果の活用面・留意点 胚珠、葯培養の結果得られた半数性個体は2倍体であるため、2倍体品種としての利用が可能なことと、染色体倍加による4倍性品種として利用が考えられる。得られた2倍体の固定度および染色体倍加法についてはさらに検討が必要である。
図表1 214903-1.gif
図表2 214903-2.gif
図表3 214903-3.gif
カテゴリ シクラメン 品種

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