タイトル |
デルフィニウム類(チドリソウ及びヒエンソウ)に発生する立枯病の診断と防除 |
担当機関 |
千葉県暖地園芸試験場 |
研究期間 |
1991~1995 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1995 |
要約 |
関東各地のデルフィニウム類に多発する立枯症はRhizoctonia solani AG-2-1(培養型Ⅱ)による立枯病である。本病は下葉の黄化や茎葉の萎凋、地際部の褐黒変、くびれなどで診断できる。トルクロホスメチル粉剤及び同水和剤で防除できる。
|
キーワード |
デルフィニウム、Rhizoctonia solani AG-2-1(培養型Ⅱ)、立枯病
|
背景・ねらい |
近年、全国的にデルフィニウム類(ヒエンソウ及びチドリソウ)の切り花栽培が行われるようになったが、立枯症状がしばしば多発し、大きな被害が発生している。そこで、デルフィニウム類の生産安定を図るため、発生原因を究明し、診断法と防除対策について確立した。
|
成果の内容・特徴 |
- 1.診断
- 本病は定植直後~開花期まで発生が認められ、10月植えのハウス促成栽培では12~4月に発生しやすい(図1)。病徴は、初め地際部に不整形、暗黒色の病斑を形成し、下葉の黄化や茎葉の萎凋が認められる。株の黄化とともに生育は停止し、地際部の周囲は褐色~暗黒色に腐敗し、株は枯死、倒伏する。地際部、根及びその付近の土壌に茶褐色の菌糸が認められることもある。したがって、本病の診断は下葉の黄化や茎葉の萎凋、地際部の周囲の褐黒変、くびれを調査した上で、顕微鏡による菌糸体の確認が必要である。
本病に類似した病害には白絹病及び軟腐病が知られている。白絹病菌は地際部や根が白色菌糸で覆われ、1~2mm程度の褐色菌核が形成されるのが認められ、軟腐病は発病部位が暗黒色、湿潤となり、軟腐するなどの点で立枯病とこれらの病害と区別できる。 - 2.病原菌
- デルフィニウム立枯病はRhizoctonia solani AG-2-1(培養型Ⅱ)による土壌病害である。本菌の菌糸生育は5℃~32.5℃で認められ、22.5~25℃である(図2)。
- 3.防除法
- 土壌病害であるので発生の認められる圃場では連作をさける。
- 多発圃場では定植直前にトルクロホスメチル(リゾレックス)5%粉剤40~50kg/10aを土壌混和する。また、生育中に発生が認められた場合、早めにトルクロホスメチル50%水和剤(リゾレックス水和剤)500倍液3ℓ/㎡(5回以内)を株元の土壌に潅注する(表1、2)。
トルクロホスメチル粉剤の定植前土壌混和処理及び同水和剤の生育期土壌潅注の併用処理すると、それぞれの単用処理に比べ防除効果がさらに高くなる(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本技術によりデルフィニウム立枯病の診断と防除が可能となり、生産安定が図れる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
図表6 |
 |
図表7 |
 |
図表8 |
 |
図表9 |
 |
図表10 |
 |
カテゴリ |
病害虫
栽培技術
立枯病
デルフィニウム
ひえ
防除
|