タイトル |
走行速度連動式液剤少量散布装置による水稲病害虫防除技術 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
走行速度連動式動力取出し軸を持たない乗用管理機に装着する速度連動式液剤少量散布装置による病害虫の省力防除技術を開発した。本装置を利用することで薬剤を均一に散布でき、慣行散布とほぼ同等の病害虫防除効果が得られる。
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背景・ねらい |
水稲の管理作業において、乗用管理機を利用した一貫作業体系を確立することは農作業の省力化を図る上で必須であり、病害虫防除作業においても乗用管理機の利用は有効と考えられる。そこで、走行速度連動式動力取出し軸を持たない乗用管理機による一貫管理作業体系確立のために、走行速度連動式液剤少量散布装置による病害虫防除技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 試作した速度連動式液剤少量散布装置は、定速の動力取出し軸(独立PTO)のみを装備した乗用管理機に装着する。車体後方には300リットルの液剤タンクを、車体前方にはブームスプレーヤを装着する。最大散布幅は10m(8mに分割可能)である。
- 車輪駆動軸の回転数を検出して、散布量コントローラが吐出流量を調整する方式であり、25~200リットル/10aと少量散布から多量散布まで幅広い液剤散布が可能である(図1)。
- 少量散布時の液剤の散布量は散布幅全域にわたってほぼ均一であり、また、イネ体の中・下位まで散布薬剤は十分に付着した(図2,図3)。
- 少量散布(300倍液25リットル/10a)によるいもち病・クモヘリカメムシ・ツマグロヨコバイなどの病害虫に対する防除効果は、慣行散布(1000倍液120~150リットル/10a)とほぼ同等で、十分な防除効果が得られ(図4,図5)、クモ類等天敵生物への影響も少ない。
- 乗用管理機による少量散布技術は、1回の作業可能距離が従来の慣行散布に比較して約4倍に伸び、300リットルで1.2haまで薬液無補給で作業が可能となり、作業の省力化、効率化が図られる。
- 以上の結果より、試作した乗用管理機装着型速度連動式液剤少量散布装置による病害虫防除は、省力な病害虫防除技術である。
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成果の活用面・留意点 |
- 試作した乗用管理機装着型液剤少量散布装置は、移植水稲栽培における病害虫防除にも適用できる。
- 作業においては、車輪が沈下しないように水田の地耐力に留意し、風によるドリフトを防止するため、風のない日を選んで作業を行う必要がある。また、使用できる薬剤は、本田の水稲液剤少量散布として登録済みの薬剤に限る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
害虫
カメムシ
作業体系確立
省力化
水田
水稲
病害虫防除
防除
薬剤
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