タイトル |
生育初期の薬剤散布によるコムギなまぐさ黒穂病の防除 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
コムギなまぐさ黒穂病に対し、小麦生育初期のプロピコナゾール25%乳剤及びテブコナゾール23.5%乳剤の散布により防除効果が認められ、本病の防除対策として生育期の薬剤防除は有効である。
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キーワード |
コムギなまぐさ黒穂病、プロピコナゾール、テブコナゾール、散布、生育期
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背景・ねらい |
コムギなまぐさ黒穂病は種子伝染性の病害であるが、近年、畑麦及び転作麦栽培圃場で土壌伝染による発病が顕在化し、種子生産地域では健全種子生産の脅威となっている。そこで、土壌伝染にも有効な生育期の薬剤散布による防除効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 本病の種子伝染に対し、麦類の病害防除剤であるプロピコナゾール25%乳剤及びテブコナゾール23.5%乳剤による小麦1.5葉期の200倍~1000倍液150ℓ/10a散布で防除効果が認められ、散布濃度が高いほど効果は高かった(表1)。また、土壌伝染に対しても、プロピコナゾール25%乳剤の小麦1.5~2葉期の200倍~1000倍液100ℓ/10a散布で防除効果が認められた(表2)。
- 散布時期は、プロピコナゾール25%乳剤では小麦1.5~5.5葉期散布で防除効果が認められたが、若齢期散布ほど防除効果が高かった(表3)。また、散布量は100~150ℓ/10a散布で効果が認められたが、効果の安定性及び散布ムラの防止を考慮すると150ℓ/10a散布が適当である。
- 上記2薬剤の散布による収量及び種子の発芽への悪影響は認められず、種子生産現場において本病防除に有効な技術である(表1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 上記2薬剤とも本病に対しては未登録である。
- 上記2薬剤のコムギに対する登録散布濃度は最高1000倍までである。また、総使用回数はプロピコナゾール25%乳剤では5回以内、テブコナゾール23.5%乳剤では2回以内である。なお、プロピコナゾール25%乳剤は現在のところ北海道のみの限定流通である。
- プロピコナゾール25%乳剤の200倍液散布では、成熟期の稈長がやや短くなる傾向がある。なお、100倍液散布では、草丈の萎縮等薬害が認められる。
- 小麦1.5~5.5葉期の散布では、出穂期以降の他病害への防除効果は期待できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
小麦
防除
薬剤
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