タイトル | ハクサイ根こぶ病を抑制する根内共生菌 |
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担当機関 | 茨城県農業総合センター |
研究期間 | 1995~2000 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1995 |
要約 | ハクサイ根面から分離したHeteroconium chaetospira2菌株は、無殺菌土壌を使ったポット試験においてハクサイ根こぶ病を効果的に抑制した。この2菌株は、ハクサイ根部の皮層細胞内に広範囲に定着し、これらの菌株を接種したハクサイは、無病徴である。 |
背景・ねらい | 茨城県南西部は、古くからのハクサイ生産地であり、連作に伴う土壌病害に悩まされている。ハクサイ根こぶ病は、土壌中に存在する休眠胞子がハクサイに感染し、発病を引き起こす難防除病害である。防除対策として化学農薬による土壌消毒が行われているが、効果の不安定性、施用量の増加傾向から安全で省力的な栽培体系が望まれている。そこで、生物的手法を用いた防除技術を開発する目的で、ハクサイ根面より菌類を分離し、それら菌類をハクサイ根こぶ病の生物防除試験に供試し、その有効性を調査した。 |
成果の内容・特徴 | 1) ハクサイ根面より分離した供試菌を使い、殺菌土壌を用いたポット試験でのハクサイ根こぶ病の抑制効果を調査したところ、327菌株中、16菌株が根こぶ形成を抑制した(発病指数20以下)。 2) その16菌株を供試して、無殺菌土壌中での根こぶ形成抑制の有無を調査した結果、2菌株(M4006およびH4007、いずれもHeteroconium chaetospira)が発病指数15および23を示し、根こぶ形成を効果的に抑制した(表1、図1)。 3) この2菌株は、ハクサイ根部の皮層細胞内に広範囲に定着しており(図2)、また、いずれも67%と高い割合で再分離された。 4) 2菌株を接種したハクサイは、それぞれ外観上無病徴であり、さらに生育が促進される傾向が認められた。 5) 以上より、H. chaetospira 2菌株は、ハクサイ根こぶ病抑制に効果を示す。 |
成果の活用面・留意点 | 「ハクサイ土壌病害抑制能を有する根面菌、同根面菌の製造方法及びハクサイ土壌病害抑制方法」で現在特許申請中である。今後、圃場試験でハクサイ根こぶ病に対する実用性を検討する。また、他の作物の土壌病害への適応を検討する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 栽培体系 土壌消毒 農薬 はくさい 防除 |