タイトル |
イネ品種におけるニカメイガ被害の差異と要因 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
主要な13の栽培品種と系統を,ニカメイガの少発品種群と多発品種群に整理した。イネの品種特性としての収穫時の茎の太さについて,被害との関係を解析し,茎の太い品種は被害株率や被害茎率が高く,逆に細い品種は被害率の低いことを,数値によって示した。茎の太さが概ね3.6mm以下の品種は少発であった。
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背景・ねらい |
埼玉県では,近年ニカメイガの被害が増加し,多発要因の解析と被害対策が急務である。また,栽培品種の変化も著しく,発生しやすい品種と発生しにくい品種が確認される。耕種的防除対策としての少発生品種の選定,或いは効率的な防除対策確立上,多発品種を認識しておくことは有効である。また,イネの品種特性としての茎の太さと多発との関係が指摘されているものの,具体的に測定した事例がない。そこで,6月中下旬移植イネについて品種別に収穫時の第2世代幼虫被害と茎の太さとの関係を解析した。
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成果の内容・特徴 |
- イネの茎の太さの測定部位は,「地際に最も近い地上部の解剖学上の節(図1)の長径と短径の平均」とし,有効茎の平均を求めた。測定部位の選定に当たっては,収穫乾燥後においても安定的に簡易に測定でき,更に品種別太さの特徴が現れていることを考慮した。
- ニカメイガの耕種的防除対策として被害の少ない有望な品種は,「むさしこがね」「たまみのり」「ゆめみのり」「玉系88号」「玉系95号」であった(表1)。
- 多発が懸念される品種は,「コシヒカリ」「キヌヒカリ」「彩の華」「玉系91号」「あかね空」であった(表1)。
- 茎の太い品種ほど多発の傾向を示した(図2,図3,図4)。「コシヒカリ」は「キヌヒカリ」より茎はやや細いが被害率が高かった(図3,図4)。
- 茎の太さが概ね3.6mm以下の品種は少発であった(図2,図3,図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 少発品種の選定によって,ニカメイガの耕種的防除が可能となる。
- ニカメイガの多発地域では,品種による発生量の差異を考慮した対策を行う。
- 茎の太さの測定は,収穫時に刈り取り,自然乾燥後,葉鞘をはずして地際部に最も近い解剖学上の節について行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
ニカメイガ
品種
防除
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