成果の内容・特徴 |
- 選択性ダニ剤を散布した区(天敵保護区)では,ハダニ及び7月以降のワタアブラムシの発生を良く抑えた(第1,2図)。しかし,ミナミキイロアザミウマの問題が残った(図3)。
- 非選択性殺虫剤+選択性ダニ剤を散布した区(天敵排除区)では,ハダニは押さえたものの(図2),ワタアブラムシ及びミナミキイロアザミウマが無処理と比較して増えてしまった(第1,3図)。ミナミキイロアザミウマの有力な天敵であるハナカメムシは排除された(図5)。
- ミナミキイロアザミウマ対策のイミダクロプリド粒剤処理はハダニのリサージェンスを誘発したが,選択性のダニ剤を使用することによって回避できた(図4)。
- 無散布区では,5月下句から6月下旬にかけてはテントウムシ類が,6月から9月にかけてはヒメハナカメムシ(図5)およびクモなどが優占した。8月以降のワタアブラムシは押さえられたものの,ハダニに有力な天敵が無くそれらの発生を押さえることはできなかった(第1,2,3図)。
- 以上の結果から,表1に示した植え付け時の粒剤処理とヒメハナカメムジの影響が少ないダニ剤の月に1度の散布により,他の害虫の多発生を招くことなく良質な果実が収穫できた(図6)。これは,従来の防除法と比較して1/2~1/4の散布回数である。ミナミキイロアザミウマを良く防除できたのは,天敵が少ない6月まではイミダクロプリド粒剤の効果によって,その後はヒメハナカメムシ等の天敵が有効に働いていたためと考えらる。
|