かんしょ圃場における昆虫寄生性線虫の生存環境とコガネムシ類に対する防除効果

タイトル かんしょ圃場における昆虫寄生性線虫の生存環境とコガネムシ類に対する防除効果
担当機関 茨城県農業総合センター
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 昆虫寄生性線虫の Steinernema kushidai は,地温20℃~30℃および土壌水分25%以上の土壌条件で感染態幼虫の生存率が高く,ドウガネブイブイ幼虫に対する殺虫効果が認められた。かんしょ圃場の地温は S.kushidai に不適な温度となることもあるが,処理3ヶ月後のドウガネブイブイ幼虫発生時期にも生存が認められ,ドウガネブイブイ幼虫に対する防除効果が認められた。
背景・ねらい 昆虫寄生性線虫 S.kushidai は,コガネムシ類に対して高い殺虫活性を示すことから生物的防除の手段として各種作物で実用化が進められている。しかし,S.kushidai は土壌環境によって生存率や殺虫活性に大きな影響を受ける。したがって,地温や土壌水分などの土壌環境条件がS.kushidaiの生存率および殺虫活性に及ぼす影響を明らかにするとともに,かんしょ圃場におけるドウガネブイブイの防除効果について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 土壌に接種した S.kushidai 感染態幼虫は,15℃~30℃温度条件下で接種5日後に接種密度の約20%に当たる生存虫が回収された。しかし,35℃の温度条件では回収頭数が著しく減少し,高温によって死亡したと考えられた。また,ドウガネブイブイ幼虫およびハチミツガ幼虫の死亡率ならびに死亡虫体内での S.kushidai増殖の結果から,S.kushidai適温域は,20℃~30℃と考えられた(表1)。
  2. S.kushidai 感染態幼虫は,土壌水分が25%以上の条件で接種5日後に20%~40%の生存虫が回収された。しかし,土壌水分20%以下での回収頭数は著しく減少した。また,ドウガネブイブイ幼虫およびハチミツガ幼虫の死亡率ならびに死亡虫体内での S.kushidai増殖の結果から,土壌水分が20%以下では,S.kushidai 感染態幼虫の活動性の抑制および生存率の低下によって殺虫効果が低下したと考えられた(表2)。
  3. かんしょ畦内の深さ15cmの平均地温は30℃を越えることがあり,最高地温は35℃に達っするなど S.kushidai 感染態幼虫の生存および殺虫活性の低下原因になると推察された(図1)。
  4. かんしょ圃場に処理された S.kushidai 感染態幼虫は,処理3ヶ月後のドウガネブイブイ幼虫の発生する8月にも生存し,さらに収穫時にも低密度ながら生存を認めた(表3)。
  5. S.kushidai はm2当たり50万頭の全面混和処理でドウガネブイブイ幼虫に対して高い防除効果を認めた。一方,畦内処理ではドウガネブイブイ幼虫の発生時期における S.kushidai 感染態幼虫の生存密度は低く,防除効果は劣った(表3)。
成果の活用面・留意点 S.kushidai 感染態幼虫の処理時の土壌の高温または乾燥は,密度低下の主要な原因となる。また,かんしょ畦の形状,マルチフィルムの有無および資材の種類によって地温は異なるので感染態幼虫の生存に大きな影響を及ぼすと考えられる。
図表1 215000-1.gif
図表2 215000-2.gif
図表3 215000-3.gif
図表4 215000-4.gif
カテゴリ 病害虫 かんしょ 乾燥 生物的防除 土壌環境 防除

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