タイトル |
養液土耕(潅水同時施肥)栽培による施設キュウリの養水分管理 |
担当機関 |
埼玉県園芸試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
全自動で根圏に養水分を供給できる養液土耕栽培によって、施設キュウリでは潅水、施肥の省力化、施肥量の節減ができることを明らかにし、養液土耕栽培による半促成、抑制キュウリの養水分管理技術のマニュアルを作成した。
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背景・ねらい |
今後の園芸作物生産では栽培管理の省力化並びに効率的な施肥に基づく環境保全型農業の推進が必要である。そこで、施設キュウリを対象に、全自動でキュウリが必要とする養水分を根圏に供給できる養液土耕栽培システムを用いて、リアルタイム栄養診断を取り入れた省力的でかつ施肥量の節減を図れる養水分管理技術を明らかにしようとする。
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成果の内容・特徴 |
- 養液土耕区は栽培期間中の土壌の無機態窒素含量が低かったが、葉柄汁液の硝酸濃度は診断基準区と同等で、半促成栽培では20%、抑制栽培では35%少ない窒素量でリアルタイム栄養診断基準値を維持できた(図1、図2)。
- 診断基準区は栽培全期間を通して窒素吸収量よりも施肥量が上回っていたが、養液土耕区は収穫開始以降、施肥量よりも吸収量が上回り、診断基準区に比べ作付け前の残存窒素や地力由来の窒素を多く吸収し、より効率的な施肥を実施できた(図3)。
- 養液土耕区の収量はやや多く、この原因として養液土耕区は診断基準区に比べ栽培期間中の土壌中の無機態窒素含量が低く経過したことと、pF1.8前後の同一水分条件に保持できたことにより、根系に与えるストレスが少なくなったと考えられた(表1)。
- 養液土耕栽培における養水分管理のマニュアルは、窒素施肥量では本試験の90~120%に、潅水量では90~150%の範囲に設定した(表2)。栽培状況に応じて窒素施肥量はリアルタイム栄養診断の実施、潅水量はpFを測定して、マニュアルを補正していく必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 水質が悪い場合は点滴チューブの目詰まりや装置故障の原因となるため、濾過装置を設置する必要がある。
- 塩類集積防止のため、副成分のない肥料を用いることが望ましく、養液土耕栽培用の専用肥料もある。その他の方法として硝酸加里、尿素を配合して用いてもよい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
肥料
栄養診断
管理技術
きゅうり
栽培技術
省力化
施肥
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