タイトル |
イチモンジセセリの誘引捕獲器 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1993~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
イチモンジセセリは波長460nmに最多反射率33%を有する濃青色に強く誘引されることを解明し、この濃青色のアクリル製の誘引捕獲器を作製した。この捕獲器の底面が稲葉先上約20cmになるように水田に設置すると成虫を効率的に捕獲できる。
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背景・ねらい |
イチモンジセセリは稲の主要害虫の一つであり、農林水産省の農作物有害動植物発生予察事業の調査対象害虫に指定され、都府県病害虫防除所で発生予察が実施されている。イチモンジセセリは昼行性の昆虫で、夜間誘蛾灯に集まらないため、発生予察は水田の周辺に栽培した赤クローバーや百日草などの花蜜植物(誘致花)に吸蜜に訪花する成虫を数え、実施している。この誘致花の利用による発生予察は花蜜植物の栽培管理や訪花成虫の計数が容易ではなく、簡便な成虫捕獲法の開発が求められていた。
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成果の内容・特徴 |
- 室内において昆虫飼育容器(30cm立方)にイチモンジセセリ成虫を10頭ずつ入れ、10%蜂蜜を入れた小さなガラス管瓶を濃青色、黄色、緑色など7色の各カラーテープで巻き、吸蜜に訪れた成虫数を数えた。その結果、成虫は波長460nmに約33%の最多反射率を有する濃青色テープを巻いた管瓶に有意に多く集まった(図1、図2)。
- 水田に設置した上記濃青色粘着板には6月中旬から多数の成虫が誘引捕獲された。
- 粘着紙の取り扱いの煩雑さを解消するために、上記濃青色アクリル板(厚さ2mm)で縦長の直方体の容器(40x40x50cm)を作製し、下方4/5の四面の上部の各1か所に成虫が進入する入り口(4cm平方)を設けた。濃青色に誘引され捕獲器内に進入した成虫は上方に飛行し上部の成虫捕集部に集まる。容器の上方1/5は同材質で作製した蓋を被せる。蓋の上面は透明のアクリル板で作製し、太陽光線が入射するようにし、捕集部に捕集された成虫を熱死させる(図4)。
- この誘引捕獲器を6~9月、水田内の周囲に設置し、底面がイネの葉先上20cmになるように設置すると、成虫を効率的に捕獲できる。複数の捕獲器を設置する場合、それらの近接距離は20m以上とする(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 発生予察や捕獲による防除への利用が期待される。
- 7月以降の誘引捕獲には、波長600nmに最多反射率を有するオレンジ色のアクリル製捕獲器も使用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
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栽培技術
水田
百日草
病害虫防除
防除
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