高圧環境が4週間保存した種卵の孵化率に及ぼす影響

タイトル 高圧環境が4週間保存した種卵の孵化率に及ぼす影響
担当機関 神奈川県畜産研究所
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 室温10℃、湿度80%でビニール袋に空気または窒素・酸素混合(95:5%)ガスを充満して4週間保存した種卵を、小型動物用チェンバーに入れて酸素分圧0.42barで3時間、または0.84barで3~4時間、4気圧で加圧すると孵化率が約5%高い傾向が見られた。
背景・ねらい 種鶏を効率的に利用するために種卵の長期保存が重要である。種卵を空気(空気区)または窒素・酸素混合(95:5%)ガス(ガス区)を充満したビニール袋に入れ、室温10℃、湿度80%の貯卵室内で4週間保存することで、通常10%程度の孵化率を約60%まで向上できる。
しかし、実用的な孵化率にするには更に改善が必要であり、孵卵前に鶏胚を活性化する一つの方法として、本試験では高圧環境に注目し、4週間保存した種卵に孵卵前に高圧処理をし、孵化率に及ぼす影響を検討した。なお、種卵は各高圧条件につき、各区分及び処理で約70~80個ずつ供試した。
成果の内容・特徴
  1. 高圧処理時の酸素分圧の検討:種卵をチェンバーに入れ、酸素分圧を0.21、0.42及び0.84barになるように調整した窒素・酸素混合ガスで4気圧まで加圧し、3時間静置した。
    その結果、対照区では酸素分圧0.21barを除いて、高圧処理したものは孵化率が低下する傾向にあった。しかし、空気区及びガス区では酸素分圧0.42及び0.84barと高くした場合、高圧処理したものは、有意ではなかったが孵化率の改善が見られた。(表1)
  2. 高酸素環境の検討:高酸素処理は、酸素濃度を約84%に調整した窒素・酸素混合ガスを充満したビニール袋内に、種卵を3時間静置した。その結果、常圧で高酸素処理を行うと空気区では孵化率の差は見られなかった。しかし、ガス区では無処理より約10%高くなった。同程度の酸素濃度で4気圧に加圧した場合は、高圧処理したものは、空気区及びガス区とも孵化率が約5%高い傾向となった。(表2)
  3. 高圧処理時間の検討:種卵をチェンバーに入れ、酸素分圧を0.84barとして4気圧まで加圧し、1、2、3、4及び5時間静置した。その結果、対照区では、1及び5時間高圧処理すると孵化率がやや高かった。空気区及びガス区では、3及び4時間高圧処理すると孵化率が有意ではなかったが約5%高い傾向が見られた。(表3)
成果の活用面・留意点 効果的な孵卵方法の開発や胚操作研究への応用の可能性がある。
図表1 215100-1.gif
図表2 215100-2.gif
図表3 215100-3.gif
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる
S