タイトル |
晩生・大果の赤なし新品種「にっこり」 |
担当機関 |
栃木県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
「新高」×「豊水」の交雑により、にほんなし新品種「にっこり」を育成した。10月中~下旬に成熟する晩生の赤なし品種で、果重は 800gの大果となり、肉質が優れている。
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背景・ねらい |
栃木県のにほんなしの栽培面積の約90%は「幸水」、「豊水」で占めている。そのため、摘果、収穫、選果などに労力が集中したり、災害や価格変動に弱い品種構成になっている。また、栃木県には、「豊水」より晩生で品質の良いなしがない。そこで、「豊水」より晩生で品質の良い新品種を育成する必要があった。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過:昭和59年に栃木県農業試験場において、「新高」を母とし、「豊水」を父として交雑を行った。平成元年に初結実、系統名「2-11」として平成4年から特性調査を実施し、平成6年3月に「にっこり」の名称で品種登録を出願し、平成8年8月22日付けで登録番号第5138号として品種登録された。
- 樹:樹勢はやや強く、枝の発生、腋花芽の着生はやや少ない(表1)。短果枝の維持は容易であるが、ショウガ芽になりにくいので、果台当りの花芽の数は少ない。開花期は「新高」と同じ時期である(表2)。「筑水」、「幸水」、「豊水」、「長十郎」、「新興」、「新高」と交雑和合性があるが、自家結実性はない(データは省略)。花粉は、少ない方である。収穫期は、10月下旬で「愛宕」とほぼ同時期である(表2)。
- 果実:果形は円形、大きさは 800g程度と極大、果皮色は赤褐色である。果梗は短く、太い。有てい果が混在する。果芯の大きさは中程度、果肉の色はやや雪白、肉質は軟らかく、糖度は12%程度、酸味は弱く、「新高」、「愛宕」、「新雪」より食味は良好である(表3)。貯蔵性は、常温で75日と長い。みつ症及び芯腐れは見られず、裂果は年により若干発生する。
- 栽培性:黒斑病には抵抗性であり、黒星病、輪紋病には強い。えそ斑点病は、病徴発現性である。
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成果の活用面・留意点 |
- 開花期が早いので、人工授粉用の花粉確保には十分留意する。
- 種苗法に基づく登録品種なので苗木、穂木の取扱いについては種苗法に従う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
黒星病
しょうが
新品種
抵抗性
品種
良食味
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