タイトル |
穂いもち発生量の予測法 |
担当機関 |
長野県農事試験場 |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
8月上旬の葉いもち発生量(巡回調査から得られた県平均発病株率値)および葉いもち病勢進展程度(気象データを用いて葉いもち発生予測モデルから推定した発生面積率の7月下旬の増加値)を説明変数とした重回帰式を用いて、防除適期前の8月上旬(出穂1週間~10日前)に高い精度で穂いもち発生量(全県の発病面積率)を推定できる。
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背景・ねらい |
現在、葉いもちについては葉いもち発生予測モデル「BLASTAM」及び「BLASTAM-NAGANO」により広域的に発生が見られる時期、急増する時期、発生面積率の推移等の予測が可能となっており、発生予察に有効に利用されている。しかし、実際に被害を生ずるのは主に穂いもちであるため、穂いもちの発生を予測することができれば利用価値は高い。そこで、過去のデータを解析し穂いもちの発生予測法について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 葉いもちの発生程度のみでは穂いもちの発生程度を推定することは困難である。
- 病害虫防除所で実施している8月上旬の巡回調査(県内144地点)から得られた葉いもちの県平均発病株率値(葉いもちの発生程度)と穂いもち発生面積率(予察年報報告値)との関係を解析したところ、r2=0.279と適合度が低く、葉いもちの発生程度からは穂いもちの発生面積率の推定は困難であった(図1)。
- 葉いもちの後期の病勢進展程度が大きいと穂いもちの発生程度も高くなる。
- 既存のデータから葉いもちの後期の病勢進展に最も関係が深いと考えられる、葉いもち予測モデル「BLASTAM-NAGANO」から得た葉いもち発生面積率推定値の7月21~31日間の増加値を用いて、穂いもちとの関係を解析した結果、r2=0.569と適合度は比較的高かった(図2)。
- 8月上旬の葉いもち発生程度及び葉いもち後期進展程度から穂いもち発生量を高い精度で予測できる。
- 上記2要因を説明変数として穂いもちの関係について重回帰分析で検討した結果、下記の重回帰式が得られ、R2=0.978と適合度が著しく高まった。また、この重回帰式から得られた穂いもち発生面積率推定値と穂いもち発生面積率(予察年報報告値)の差は最大で0.6であり、穂いもちの発生予測が可能と判断された(表1)。
重回帰式Y=0.3750X1+0.0819X2-0.5034 R2=0.978 n=8
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成果の活用面・留意点 |
- 穂いもちの防除適期以前(8月上旬:出穂1週間~10日前)に穂いもちの発生面積率の予測が可能なため、発生予察の上で有用な資料となる。(図3)
- 広域的な予測法であるため、地域的あるいは圃場単位の予測には適さない。
- 出穂期前に穂いもちの発生量を予測しているため、出穂後の気象条件によっては誤差が大きくなることがある(低温・冷害年では少なく、高温・干ばつ年では多く推定される)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
凍害
病害虫防除
防除
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