タイトル |
温室メロンに新発生した黄化えそ病の病原ウイルス |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
メロン黄化えそ病の病原ウイルスはミナミキイロアザミウマにより永続伝搬され、ウリ科植物に強い病原性を持ち、トスポウイルスに属する新しいウイルス(メロン黄化えそウイルス)である。
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背景・ねらい |
温室メロンに激しい症状を発生させた黄化えそ病は、日本に新発生したウイルス病であると考えられるので、病原ウイルスの同定を行い、再発時に備える。
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成果の内容・特徴 |
- 罹病メロンは、初め新葉の葉脈に沿って黄化し、後にえそ斑点が発生し、葉全体が黄化する。交配期以前に本ウイルスに感染すると果実にモザイクが発生し、ネット形成も不良となる。本ウイルスに抵抗性のメロン品種はまだ認められていない。
- 本ウイルスはミナミキイロアザミウマにより永続伝搬され、汁液伝染性は弱く、土壌伝染や種子伝染はしなかった。(表1)
- 本ウイルスはウリ科植物に強い病原性を持つが、全身感染する植物は少なかった。(表2)
- 超薄切片法によりキュウリ罹病葉の細胞質内に直径約130nmの球状粒子が観察された。
- ウエスタンブロット法と間接ELISA法により、本ウイルスのヌクレオキャプシドプロテインは、スイカ灰白色斑紋ウイルス(WSMV)と遠い血清学的な関係があった。
- 電気泳動法により本ウイルスは3分節ゲノムを持っていた。
- 本ウイルスのヌクレオキャプシドプロテインのアミノ酸配列は、既知のトスポウイルスと比較してホモロジーが低かった。(表3)
- 既知のトスポウイルスと比較して本ウイルスは、宿主範囲及び血清学的類縁関係が異なること、ヌクレオキャプシドプロテインのホモロジーが低いことなどから、新しいトスポウイルスと思われる。
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成果の活用面・留意点 |
- トスポウイルス群の判別及び同定に活用する。
- 本ウイルスは粗汁液中では失活しやすいので、生物検定には注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
黄化えそ病
きゅうり
抵抗性
品種
ミナミキイロアザミウマ
メロン
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