タイトル |
「St No.1」由来のイネ穂いもち圃場抵抗性の特性とその遺伝様式 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
「St No.1」由来の高度な穂いもち圃場抵抗性を有するイネ品種の葉いもち圃場抵抗性はイネの生育が進むにつれ強くなる。また、本穂いもち圃場抵抗性は1個の優性主働遺伝子によって支配される。
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背景・ねらい |
水稲中間母本「St No. 1」由来の縞葉枯病抵抗性遺伝子Stv-biを有するイネ品種は、穂いもちに対し強い圃場抵抗性を有する(藤井・朱宮, 1992)。そこで、この「St No. 1」由来の穂いもち圃場抵抗性の特性とその遺伝様式を調べる。
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成果の内容・特徴 |
- 「St No. 1」由来の穂いもち圃場抵抗性を有する「月の光」と「葵の風」は、穂いもち圃場抵抗性弱品種と比べ、その葉いもちの発病がイネの生育後期で少なかった(図1)。また、「月の光」の止葉やその次葉の病斑上に形成される分生胞子柄と分生胞子は、数が少なく分生胞子柄が変形する等の形態異常が多かった。
- 「月の光」と「葵の風」は、「St No. 1」由来の穂いもち抵抗性を有するイネ品種の穂首節から分離したいもち病菌を含む延べ9レース、15菌株に対し強い圃場抵抗性を示し、菌株による抵抗性の変動は少なかった(図2)。
- 「月の光」と抵抗性弱の「黄金晴」のF2集団の穂いもち圃場抵抗性は、強と弱で3:1に分離した。一方、「月の光」と「黄金晴」のF3系統と「葵の風」と抵抗性弱の「農林29号」のF2集団の穂いもち圃場抵抗性は、強、中、弱それぞれ1:2:1の割合に分離した(図3、表1)。
- 以上の結果から、「St No. 1」由来の穂いもち圃場抵抗性は、イネの生育に伴いいもち病に対する抵抗性が高まり発現すると考えられる。また、本抵抗性は1個の優性な主働遺伝子により支配されていると推察される。
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成果の活用面・留意点 |
- いもち病の抵抗性品種育成と抵抗性品種を用いたいもち病の効果的な防除に活用できる。
- 「St No. 1」由来の穂いもち圃場抵抗性は1個の主働遺伝子によって支配されている。このため、本抵抗性の罹病化に留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
縞葉枯病
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
抵抗性品種
品種
防除
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