タイトル |
施設トマト・キュウリ栽培における天敵出芽細菌のネコブセンチュウ防除効果 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
施設トマト、キュウリ栽培において天敵出芽細菌を土壌施用するとサツマイモネコブセンチュウ密度は施用後2年、第4作ごろから無処理区と比較して減少し、収量は増加する。その効果は殺線虫粒剤と体系的に用いることによりさらに高まる。
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背景・ねらい |
現在トマト、キュウリ栽培における線虫対策は薬剤防除が一般的である。しかし、土壌くん蒸剤の使用は環境保全の点から使用が制限される方向にあり、今後は環境負荷の少ない天敵利用や耕種的防除が加味される必要がある。そこでネコブセンチュウに寄生する天敵出芽細菌 Pasteuria penetransの施用によるネコブセンチュウの防除効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- サツマイモネコブセンチュウで汚染されたガラス室内に天敵出芽細菌区、体系防除(天敵出芽細菌+50%減農薬)区、薬剤(粒剤)防除区及び無処理区を設け、トマトとキュウリを4年7作栽培した。天敵出芽細菌は初作のみ施用し、薬剤は毎作所定量を施用した。
- 天敵出芽細菌区の線虫密度は第3作まで無処理区と同程度であったが、第4作以降密度は低く抑えられた(表1)。天敵出芽細菌の線虫への寄生率は第3作以降高まり、第4作で寄生率88.7%、線虫1個体当たり付着胞子数は5.1個に達した(表2)。
- 第6作のキュウリ収量は天敵出芽細菌区が株当たり収量2.8kg、無処理区対比126と最も多収であった。天敵出芽細菌区は後期には他区に比べて多収となった。これは薬剤の効果が経時的に消失するのに対し、天敵出芽細菌は線虫密度抑制効果を持続するためと考えられる(図1)。
- 第7作のトマト収量は体系防除区が株当たり収量4.1kg、無処理区対比112と最も多収で、薬剤防除区の同収量3.6kg、同比99より優った。(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 天敵出芽細菌が圃場に定着し効果を発揮するまで施設で2~3年かかる。この間D-Dや粒剤を用い体系的な防除に努める必要がある。
- 天敵出芽細菌は、クロルピクリンや殺菌剤の影響を受けるため殺菌剤の種類が制限される。併用できる防除体系を構築する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
きゅうり
くり
天敵利用
土壌くん蒸
トマト
農薬
防除
薬剤
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