タイトル |
ヒメトビウンカ動態解析によるイネ縞葉枯病の発生予測 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
イネ縞葉枯病の発生は、ヒメトビウンカの保毒虫率と発生数の積との相関が高い。縞葉枯病抵抗性品種の導入効果により縞葉枯病の発生は減少し、保毒虫率も低下した。さらにヒメトビウンカの発生数が低く推移しているため、今のところ縞葉枯病の発生を助長する要因は少ない。
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背景・ねらい |
かつて埼玉県の稲作における最大減収要因であったイネ縞葉枯病の発生は、1980年から導入された縞葉枯病抵抗性品種の効果によって減少した。1990年以降、抵抗性品種の作付は減少しているが、依然、縞葉枯病の少発生は続いている。そこで、今後の発生予察の資料とするため、媒介虫であるヒメトビウンカの発生と縞葉枯病の発生との関連について解析した。
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成果の内容・特徴 |
- 縞葉枯病の発病株率はヒメトビウンカの保毒虫率と第1世代成虫の生息密度(本田内最高密度)の積との間に高い相関(双方の対数の間で r=0.88**)が認められた(図1)。したがって、保毒虫率が低い場合でも、ヒメトビウンカの多発生によって縞葉枯病は多発する。
- 1970年代後半から1980年代前半の縞葉枯病の流行は、1978年のヒメトビウンカの大発生(図2)に起因し、これによる発生面積の拡大がその後のイネ縞葉枯ウイルス保毒虫率の上昇の原因であると推定される。
- 1980年に縞葉枯病対策として埼玉県では抵抗性品種「むさしこがね」を初めて奨励品種に採用した。その後も抵抗性の新品種が導入され、1987年には作付面積の75%に達した。その効果によって縞葉枯病の発生面積は減少し、ヒメトビウンカの保毒虫率は低下した。抵抗性品種の作付面積率は、その後減少して1990年以降は50%台で推移しているが、依然、少発生である(図3)。
- ヒメトビウンカの発生数は1984年から少なく、その傾向は現在も継続している(図2)。また、保毒虫率も1987年から3%程度と低いため(図3)、今のところ縞葉枯病の発生を助長する要因は少ない。
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成果の活用面・留意点 |
- 縞葉枯病流行の前兆の察知および発生予察情報の作成の参考となる。
- ヒメトビウンカ個体数および保毒虫率を継続的に把握する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
縞葉枯病
新品種
抵抗性
抵抗性品種
ヒメトビウンカ
品種
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