タイトル |
シミュレーションモデルによるマメハモグリバエの動態の推定 |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
マメハモグリバエの増殖率は、25℃において最も高く、内的自然増加率(1雌1日当たり)は0.16で、1カ月当たりの増殖は 124倍と高い。室内実験における生存率と産卵数を基にした個体群成長のモデルシミュレーションの計算値は、実測値と良く一致し、ほ場における発生動態の推定に適用できる。
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背景・ねらい |
天敵を用いた生物的防除技術を開発するためには、防除対象である害虫の生態を詳細に解明する必要がある。マメハモグリバエの発育速度等についてはすでに明らかにしたが、増殖を決定するパラメータである生存率と産卵数を明らかにする必要がある。そこで、室内実験からトマトの葉を餌とした場合の温度別の生存率と産卵数を求め、それらのほ場における適合性をモデルシミュレーションによって検証する。
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成果の内容・特徴 |
- 蛹化率と羽化率は温度の影響を受け、25℃付近に生存に好適な温度帯がある(表1)。
- 1雌当たりの産卵数は25℃で最も多く、雌成虫の寿命は温度が高いほど短い(表1)。
- 25℃における1雌1日当たりの内的自然増加率は約0.16、純繁殖率は約25.2倍、1カ月当たりの増殖は約124倍となり、25℃付近が増殖に最も好適な温度である(表2)。
- 室内実験で得られた増殖率のほ場への適合性を検証するために、25℃条件下における生存率と産卵数のデータを基に、レスリー行列の変形モデル(宮井、1992)を使って個体群成長のモデルシミュレーションを行い、ガラス温室のトマトほ場における密度推移の実測値と計算値を比較したところ、幼虫数(図1)、食痕数(データ省略)については密度とその変動パターンは良く一致した。
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成果の活用面・留意点 |
- 増殖に及ぼす温度の影響が明らかになったことにより、トマトの作型や季節に応じた防除対策を構築するうえでの基礎資料となる。
- シミュレーションモデルをほ場における発生動態の推定に利用したり、薬剤の最適散布時期や防除手段の有効性などの防除戦略の検討に利用することが可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
生物的防除
トマト
繁殖性改善
防除
薬剤
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