タイトル |
ツマグロヨコバイの卵寄生蜂の優占種と寄生消長 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1996~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ツマグロヨコバイの卵寄生蜂6種の内、優占種はP.andoiとGonatocerus spp. であり、イネ苗トラップにより通年の寄生消長を明らかにできる。越冬期にはメヒシバ、イヌビエ、スズメノカタビラ、オヒシバ等の枯れた葉鞘内からタマゴヤドリコバチ科の3種は採集できる。
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背景・ねらい |
水稲の環境保全型害虫管理推進の一環として、有用天敵である卵寄生蜂の保全、活用が重要である。卵寄生蜂は極めて小さく捕獲が容易でないため、通年の寄生消長調査が行なわれていない種が多い。そこで、ツマグロヨコバイの卵寄生蜂を対象に、採集法を検討した上で卵寄生蜂相を調査し、優占種と寄生消長を明らかにした。
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成果の内容・特徴 |
- 農研センター水田から採集したツマグロヨコバイの卵寄生蜂は、タマゴヤドリコバチ科のParacentrobia andoi、Oligosita spp.(2種類)、ホソハネヤドリコバチ科のGonatocerus cincticipitis、G. miurai、Anagrus sp.の合計6種であった。
- 卵寄生蜂は以下の3通りの方法で採集可能である。
- すくい取り法:口径36cmの捕虫網で草冠部を45回以上すくうと捕獲できる。
- イネ刈り取り法:水田内のイネを無作為に、生育や季節に応じて5~25株(100茎)刈り取り、葉鞘内の被寄生卵を採集する。
- イネ苗トラップ法:育苗用マット(12×22cm)に育てた草丈8~12cmのイネ苗約1200本にツマグロヨコバイを2日間接種して半数以上に産卵させたものをイネ苗トラップとし、畦畔から50cmの水田内に置く。設置後、ツマグロヨコバイの卵が眼点を形成したら回収し、被寄生卵を調査する。
- これらのうち最も多数、多種の卵寄生蜂を採集できたのはイネ苗トラップ法で(図1)、水田近くの畦畔に設置しても採集可能であった(図2、図1996年)。
- 1994~96年の通年調査では、優占種はP.andoiとGonatocerus spp.であり、発生盛期は5~6と8~9月であった(図2)。他の3種の発生は僅かであった。
- 越冬期にはタマゴヤドリコバチ科の3種の被寄生卵は、メヒシバ、イヌビエ、スズメノカタビラ、オヒシバ等のイネ科植物の枯れた葉鞘内から採集可能である。
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成果の活用面・留意点 |
ツマグロヨコバイの土着天敵である卵寄生蜂の優占種、寄生消長を知ることで、天敵利用のを進める上の材料が得られる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
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水田
水稲
天敵利用
土着天敵
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