タイトル |
土壌試料の交換性陽イオンの簡易な浸出測定法 |
担当機関 |
栃木県農業試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
農業改良普及センターで行う土壌診断の交換性陽イオン類の測定には、従来の酢安バッチ法よりも、浸出液に0.0114M SrCl2/0.05M CH2COONH4溶液を用いたバッチ法を用いることで、陽イオン類の交換浸出率および操作性が向上する。
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背景・ねらい |
現在、交換性陽イオン類の測定は、セミミクロショーレンベルガー法(以下常法)のCEC測定過程で得られる交換浸出液(pH 7.0 1M 酢酸アンモニウム溶液)を測定するのが標準法となっている。しかし、農業改良普及センターでは、作業が煩雑で長時間を要することや浸出装置の不備などのため常法を使用できない場合が多い。また、普及センターで扱う土壌試料は、CECの値が既知の場合が多く、従来pH 7.0 1M 酢酸アンモニウム溶液を浸出液とした酢安バッチ法が広く用いられている。しかし、酢安バッチ法は、常法に比べて操作性、効率性で優れている一方で、陽イオン類の測定値が低くなる問題がある。
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成果の内容・特徴 |
- 方法:本法(ストロンチウムバッチ法)で使用する浸出液は、0.0114M 塩化ストロンチウム/ 0.05M 酢酸アンモニウム溶液とする。風乾細土1gを500mL容のポリエチレン振とう瓶に入れ、浸出液を200mL 加え、1時間振とう、ろ過後、ろ液を原子吸光光度計または炎光光度計で測定する。
- 黒ボク土28点、非黒ボク土27点を測定した結果、従来の酢安バッチ法の CaO測定値は、常法よりも低く、測定値が高くなるほど差が大きくなる(回帰式の傾き0.76)が、ストロンチウムバッチ法の回帰式の傾きは0.99であり、常法と同水準の測定値が得られる(図1)。また、MgOおよびK2O測定値の回帰式の傾きは0.91、0.97であり、従来のバッチ法よりも常法に近い値が得られる(図2,図3)。
- ストロンチウムバッチ法による測定値は、酢安バッチ法よりも優れており、さらに、浸出後の希釈がいらない点からも、操作性および効率性が高い。
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成果の活用面・留意点 |
- 浸出液の作成は、SrCl2 1.18g(6水塩 SrCl2・6H2Oならば3.04g)および 1M CH3COONH4 50mLを水に溶かして1Lとする。
- バッチ法なので特定の器具および操作を必要とせず、多検体同時処理が可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
土壌診断
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