タイトル |
グライ土水田転換トマト栽培圃場の持つ過剰窒素溶脱防止機能 |
担当機関 |
三重県農業技術センター |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
水田基盤の下層にグライ層が存在する低湿地トマト栽培施設ほ場では、太陽熱消毒及び湛水除塩期間においても、土壌中の硝酸態窒素は地下水系へ浸透溶脱することなくグライ層で脱窒する。
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背景・ねらい |
施設トマト栽培において実施される太陽熱消毒及び湛水除塩期間には、湛水処理を行うため、跡地土壌に残存する窒素成分が地下に浸透、溶脱することが懸念される。ここでは、土壌下層にグライ層が存在するほ場での湛水処理期間中の無機態窒素の動態について、ほ場下層まで定量的に把握することにより、水田を基盤とする施設栽培の環境保全的な優位性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 作土中の土壌溶液中硝酸態窒素濃度は、太陽熱消毒期間中には下層へと移行しながら徐々に低下し消失した。太陽熱消毒後には土壌の乾燥により施用した石灰窒素等に起因すると考えられる硝酸態窒素濃度の上昇が認められるが、引続く湛水除塩処理期間で硝酸態窒素濃度は再び下層へと移行しながら徐々に低下した。両湛水処理期間中に50cm以下のグライ層では硝酸態窒素は認められなかった(図1)。また、トマト栽培期間中もグライ層では硝酸態窒素は認められなかった。
- 土壌各層における孔隙率と土壌溶液中の無機態窒素濃度から、深さ125cmまでのほ場における窒素量を算出すると、太陽熱消毒期間には6日間で7.5Kg/10a、湛水除塩期間には8日間で10.6Kg/10aの硝酸態窒素が減少し、これは大部分が脱窒によるものと推定した。アンモニア態窒素量は両期間とも変動しなかった。(図2)
- ほ場レベルでの窒素収支を試算すると、投入量57.6Kg/10aに対し、持出し量は、トマト植物体の窒素吸収量が34.0Kg、脱窒量が18.1Kgとなり、合計52.5Kg/10aであった。(表1)
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果を活用するには、下層土の透水性、グライ層の有無を確認する必要がある。
- 急激なかけ流しでは、効果が十分でない可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
乾燥
施設栽培
水田
トマト
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