タイトル |
乾田直播栽培における適正な入水時期と水深 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
乾田直播栽培の入水時期は、出芽揃い後早いほど茎数、穂数の確保が容易である。入水は稲の葉先が水面から出る程度の水深であれは枯死しないが、分げつの発生が抑制されるため、入水後の水深はできれば4㎝程度、少なくとも8㎝以下が適当である。
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背景・ねらい |
乾田直播栽培は省力的な水稲の栽培技術であり、湿田の多い千葉県でも、条件が整った圃場では普及が可能である。乾田直播栽培における水稲の生育制御の点から、入水時の水管理法を明らかにすることが必要である。
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成果の内容・特徴 |
- 出芽揃い期以降であれば、入水時期が早いほど最高茎数を多く確保することができる。穂数は入水時期が播種後約10~30日の範囲ではほとんど変わらない(図1)。また、入水時期が早いほど出穂期及び成熟期は早くなり、「コシヒカリ」の例では、入水時期により出穂期は8日、成熟期は12日異なる。
- 出芽揃い期以降であれば入水が早く苗が完全に水没するほど深水にしても、葉身が伸長することにより苗が枯死することはない。一方、3葉抽出期(播種後約20日)以降の入水でも完全に水没する極端な深水(約20㎝)が続くと苗の枯死率が高くなる(表1)。
- 入水後の水深が深いほど分げつの発生が抑制され、10~12㎝の深水を約20日継続した場合はほとんど分げつしない。4葉抽出期の入水でも水深が深いほど分げつの発生は抑制されたがその程度は小さい(図2)。
- 圃場においても水深が深いほど茎数が少なくなる(図3)。
- 以上の結果から、乾田直播栽培では出芽揃い期以降であれば、入水時期を早めることにより茎数及び穂数を確保し、出穂期、成熟期を早くすることができる。その場合、極端な深水により苗が完全に水没し続けなければ枯死することはないが、分げつの発生が抑制されるので、理想的には4㎝程度、深かくても8㎝以下の水深にするのが適当である。
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成果の活用面・留意点 |
- 入水後の水管理を適正に行うことにより水稲の生育の安定化が可能となる。
- 入水時期を早め乾田期間を短くすることにより、雑草の発生量を減らし乾田期間中の除草剤の散布回数を減らすことができる。
- 適切な水管理を実施するためには、均平の良い1ha程度の圃場が適当である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾田直播
栽培技術
雑草
除草剤
水稲
播種
水管理
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