タイトル |
8月まき促成トマトの接ぎ木活着率向上のための接ぎ木方法と養生法 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
8月まき促成トマトで接ぎ木活着率を向上させるには、接ぎ木方法は、幼苗斜め合せ接ぎが適し、接ぎ木後の養生方法は黒寒冷紗等で通気性のあるトンネル形式の接ぎ木養生床を作り、日中定期的に散水し6~9日間養生する方法が適する。
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背景・ねらい |
促成トマトでは、根腐萎ちょう病、萎ちょう病(レース2)、ネコブセンチュウ等の土壌病害虫対策のために、抵抗性台木を用いた接ぎ木栽培が増加し、平成7年度には全体の約70%になっている。しかし、一部の産地では、高温期に接ぎ木する場合の接ぎ木活着率約20%と低く、接ぎ木栽培の導入が遅れている。そこで、高温期に接ぎ木活着率が向上し、農家個人で導入が可能な接ぎ木方法と接ぎ木後の養生方法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 接ぎ木方法は、連結ポットまたはポリポットで育苗した苗を使い、接ぎ木支持具を用いた幼苗斜め合せ接ぎとする(表1)。
- 接ぎ木養生床は、通風の良い温室内に幅100㎝、高さ5㎝のベッドを作り、地温の上昇、泥の跳ね上げを防ぐために、ベッドにペパロンルクサー等の通気性のあるマルチをする。ベッドの上に遮光のため#600の黒寒冷紗を3重にトンネル被覆する(遮光率約80%)。接ぎ木養生床内の湿度を保持し、気温を下げるために散水用のかん水チューブをベッド上およびトンネル外側頂上部に設置する(図1)。
- 温室の日中の最高気温が40℃前後、平均気温が35℃前後の場合、接ぎ木養生床内の日中の気温は、温室内気温より平均で約6℃低くなり、日中の湿度は、60~70%に保持できる。夜間は、気温、湿度ともに温室内と同程度になる(図2)。
- 接ぎ木苗の大きさは、台木、穂木ともに葉数2~4枚、茎径2~4㎜が適当である。接ぎ木した苗は順次、接ぎ木養生床の中に並べる。接ぎ木当日から活着するまで、散水は日中、2時間おきに3分間程度行う。黒寒冷紗は接ぎ木後2~3日おきに1重づつ枚数を減らし徐々に遮光率を減らす。接ぎ木後6~9日で活着する。この方法の接ぎ木活着率は78.6~100.0%であり、産地の現状の約20%に比して、4~5倍向上した(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ビニル等通気性の無い資材による日中の養生床の密閉は、養生床内の気温が40℃以上になる危険性が高く、接ぎ木活着率の著しい低下を招くので行わない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育苗
台木
接ぎ木
抵抗性
トマト
病害虫防除
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