胚珠培養によるキクとハマギクとの雑種作出

タイトル 胚珠培養によるキクとハマギクとの雑種作出
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間
研究担当者
発行年度 1996
要約 キクとハマギクとの雑種を、胚珠培養により作出することができた。交配に用いたスプレーギク`スワン''及び`91-SA-18-22''では、培養に適した胚珠の採取時期と培地のショ糖濃度及び供試胚珠当たりの正常生育個体数に差がみられた。
背景・ねらい ハマギクは、光沢のあるへら型の葉を持ち、白さび病に罹病しにくいため、キク新品種育成の育種素材として重要と考えられる。しかし、ハマギクはキクと属が異なるため交雑が困難である。そこで、胚珠培養による雑種作出を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 子房親に雄性不稔のスプレーギク品種`スワン'及び愛知県育成系統`91-SA-18-22'(以下`18-22')、花粉親にハマギクを供試した。培養の概略は表1に示した。胚珠培養の結果、`スワン'交配では4,903胚珠のうち26胚珠、`18-22'交配では858胚珠のうち18胚珠が発育した。`スワン'交配の場合は、交配後6~14日目の胚珠、`18-22'交配の場合は、ショ糖濃度40~60g/lの培地が適していた(表2)。
  2. 胚珠培養で発育した`スワン'交配の26胚珠及び`18-22'交配の18胚珠を培養した結果、胚珠培養時に発根と本葉展開した`スワン'交配の3胚珠及び`18-22'交配の3胚珠が植物体を形成した(表3)。
  3. 植物体となった個体を培養した結果、`スワン'交配の1個体及び`18-22'交配の2個体は正常に生育した(表3)。葉の形態が両親の中間的であること(図1)、染色体数が`スワン'及び`18-22'(共に2n=54)とハマギク(2n=18)の中間の36本前後であること(データ省略)から、この3個体を雑種と確認した。
  4. 以上から、胚珠培養によってキクとハマギクとの雑種を作出することができた。
成果の活用面・留意点
  1. 雑種作出の効率は非常に低いため、胚珠培養の規模は可能な限り大きい方が良い。
  2. 雑種は3個体とも雄性不稔である。`スワン'交配の雑種はスプレーギクとの交雑が可能であり、新品種育成の交配母本として利用できる。
図表1 215335-1.gif
図表2 215335-2.gif
図表3 215335-3.gif
図表4 215335-4.gif
カテゴリ 育種 きく 新品種育成 品種

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