シクラメン(Cyclamen persicum)の胎座つき胚珠培養による半数体植物の作出

タイトル シクラメン(Cyclamen persicum)の胎座つき胚珠培養による半数体植物の作出
担当機関 神奈川県農業総合研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 四倍性シクラメンの遺伝的均一性の向上をめざした半数体育種の効率化を目的に胎座つき胚珠培養による植物体作出の可能性を検討した結果、二倍体個体を育成することができ、さらに植物体分化に要する期間を短縮することができた。
背景・ねらい 現在、大鉢用シクラメンは四倍体品種が主であり、形質の分離幅が大きく、均一性の向上が望まれている。そこで形質の固定化をはかるために、四倍体品種(2n=4X=96)の未受精胚珠培養に取り組み、二倍体個体(2n=2X=48)を育成した(平成7年度成果)。しかし、未受精胚珠を無菌的に摘出して培養するためには、多大な労力と熟練が要求される。そこで、胚珠培養の効率化を目的とした胎座つき胚珠培養の可能性を検討するため、基本培地中の窒素濃度および供試胚珠の発育ステージが胚珠の発達におよぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 胎座つき胚珠培養は、表面殺菌した子房より胚珠を胎座ごと摘出し、培地に置床する。基本培地には窒素濃度のみを1/3に希釈したシクラメン用MS培地または培地濃度を1/3に希釈した1/3-N MSを用い、3% シュークロース、10% ココナッツミルク、0.5mg/lNAA、2.0mg/l 2,4-Dおよび2mg/l ゲランガムを添加する。
  2. 胚珠の肥大率については品種間差がみられ、`Vuurbaak'に比べ`Victoria'が高かった(表1)。花蕾のステージについては、10~25mmでいずれも胚珠の肥大がみられ、材料採取の基準になるものと考えられる。
  3. 培養3か月後の胎座および胚珠の肥大は、1)胚珠のみ肥大(図1),2)胚珠と胎座がともに肥大,3)胎座のみ肥大の3通りに大別できた。1)と2)では、胚珠は胎座組織と容易に識別でき、胎座からの胚珠の分離が可能である(図2)。一方、3)では、白色または水浸状を呈するものが多く認められ、胚珠の分離は不可能である。
  4. 胚珠培養開始後約6か月にシュート形成が観察され、さらに染色体観察の結果、四倍性および二倍性を示す個体が存在することが明らかになった(図3)。
成果の活用面・留意点 本方法は、多大な労力と熟練が要求された従来の未受精胚珠培養を改良し、一度に多数の胚珠を扱える点で有効であり、さらに胚珠の単離培養に比べ肥大が促進され、植物体分化に要する期間が短縮された点で有効と考えられる。
胚珠、葯培養の結果得られた半数性個体は二倍体であるため、二倍体品種としての利用が可能なことと、染色体倍加による四倍性品種としての利用が考えられる。得られた二倍性個体の固定度および染色体倍加法については未検討である。
図表1 215347-1.gif
図表2 215347-2.gif
図表3 215347-3.gif
図表4 215347-4.gif
カテゴリ ICT 育種 シクラメン 品種

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