タイトル |
酒造好適米水稲新品種「ひとごこち」とその施肥法 |
担当機関 |
長野県南信農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
心白発現率高く、醸造適性の高い酒造好適米水稲「ひとごこち」を育成し、奨励品種に採用した。大粒で醸造適性の高い高品質米の安定生産には、基肥を抑え幼穂長5~10mm期に追肥を行う。
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背景・ねらい |
本県の酒造好適米「美山錦」は醸造評価は高いが長稈で倒伏に弱く、心白発現がやや劣る。「白妙錦」は心白発現は良く良質であるが、耐冷性弱くやや低収で、倒伏に弱い欠点を持っている。 このため、大粒で心白発現率が高く、醸造適性優れ、栽培特性のよい、多収な酒造好適米を育成・選定し、高品質米の安定生産技術を確立することにより、高品質な酒造好適米の安定生産を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 「ひとごこち」は長野県農事試験場において、昭和62年「信交酒437号(白妙錦)」を母とし、「信交444号」を父として交配を行い育成した酒造好適米で、「白妙錦」及び「美山錦」の一部に替えて奨励品種に採用した。
- 「ひとごこち」は出穂・成熟は「白妙錦」より4日程度遅く、「美山錦」より出穂期は2~3日遅く、成熟期は同じ“中生の早"である。
- 玄米は「美山錦」より大粒で、粒揃い良く、心白の発現率高く、外観品質は「美山錦」より優れ、「白妙錦」並によい。
- 醸造適性高く、淡麗で味に幅のある酒質で、59%搗精での醸造評価は「美山錦」より優れる。
- 収量性は「美山錦」「白妙錦」より多収である。
- 「美山錦」より稈長の短い“中稈"で、耐倒伏性は“中"で「美山錦」より強い。
- いもち病の真性抵抗性遺伝子はPi-a、iと推定され、圃場抵抗性は“中"で「美山錦」よりやや強い。
- 耐冷性は「美山錦」と同等の“やや強"である。
- 大粒で心白発現率が高く、タンパク含量が低く、醸造適性の高い高品質米の安定生産の適正穂数は350~400本/m2で、一般品種より基肥Nを2kg/10a程度減肥し、幼穂長5~10mm期(出穂前20~15日)の追肥がよい。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及地帯は標高 700m以下(中信北部、北信地方は 600m以下)の酒米団地。
- 酒造好適米としての品質確保のため、多肥栽培は避ける。
- いもち病には強くないので、適期防除につとめる。
- 耐冷性は比較的強いが、冷温来襲時には、深水管理等の冷害対策を実施する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
酒造好適米
新品種
水稲
施肥
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
品質確保
防除
水管理
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