タイトル |
酒造好適米「若水」の無代かき移植栽培による収量、品質の向上 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
愛知県尾張沖積の低湿地帯は、無代かき移植栽培の適応性が高く、酒造好適米「若水」の生育は慣行移植に比べ初期から旺盛となる。また、千粒重、登熟歩合が高まり、収量の増加及び品質が向上する。
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背景・ねらい |
無代かき移植栽培の導入に当たり、最も重要な課題は漏水問題である。当地域は、海抜ゼロメートル地帯であり、地下水位は高く、透水性が極めて小さいため、無代かき栽培の適応性は高いものと推察される。一方、酒米は、登熟条件が大きく左右する千粒重、登熟歩合、玄米窒素含量、心白発現などの要素が、特に重要視される。そこで、本県の主要酒造好適米品種である「若水」について、秋まさり型生育相をするとされる無代かき移植栽培の適応性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 無代かき移植の作業体系は、耕起・砕土(冬耕+春耕、ロータリ)→湛水(移植1~3日前)→移植とする。移植は、慣行の乗用型あるいは歩行型の田植機(本試験では歩行型4条植えを使用)を用いる。
- 「若水」は、分けつが少ない品種特性を持ち、茎数確保は重要なポイントである。無代かき移植は、生育初期から分けつは旺盛で、茎数は慣行移植より多く推移する(図1)。
- 出穂時の稲体乾物重は、無代かき移植が地上部重、地下部重ともに慣行移植より重い。また、出穂時の葉色は濃い(表1)。
- 精玄米重は、無代かき移植が慣行移植よりやや高く、また、千粒重は重く、登熟歩合は高い(図2)。
- 玄米タンパクは、慣行移植に比べ明らかな差は認められない(図2)。
- 心白は、発現率が約90%、心白率が約60%と良好な値を示す(図3)。
以上から、当地域において、無代かき移植栽培を導入することにより、省力化が図れ、酒造好適米「若水」の品質向上、収量アップが期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 適用地帯は、尾張沖積の低湿地帯、中粗粒グライ土である。
- 砕土状態は移植精度、除草効果に影響するため、春耕は、十分な注意(砕土程度:直径2cm以下の土塊が50%以上)が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
酒造好適米
省力化
除草
品種
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